【無料全文公開】私のトレードのポイント[水上紀行]
人それぞれトレードに対する考え方やスタイルが異なるように、トレードの際に重視するポイントもさまざまです。ディーラー歴30年以上のキャリアを誇る水上紀行さんがトレードで最も大切にしているポイントは何なのか。また、実際に使用しているというツールや分析方法についても具体的に教えてもらいます。
※この記事は、FX攻略.com2017年11月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
水上紀行さんプロフィール
みずかみ・のりゆき。バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年、上智大学経済学部卒業後、三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。5年間の支店業務を経て、ロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。東京外国為替市場で「三和の水上」の名で知られる。ドレスナー銀行にて、外国為替部長。1996年より RBS銀行にて、外国為替部長を経て、外為営業部長。2007年より バーニャ マーケット フォーカスト代表。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。
スイングトレードで相場展開を推理する
私は今、あまり人気のないスイングトレードをやっています。なぜなら、今の相場がファンダメンタルズ的に何をテーマにしているかを絞り込み、そのテーマがどのようなストーリー(筋書き)を描いて、そしてどう決着するかを推理するのが自分には向いていると思うからです。
それが決着を見るには、ある程度の時間がかかると考えています。通常は翌日か翌々日までにはポジションを手仕舞いますが、はっきりとしたトレンド相場になりそうであれば、20日前後ポジションを持ち続けることもあります。しかし相場は生き物ですから、当初の方針とは相場展開が変わっていくのが当たり前ですので、こまめに見方を修正していく必要があります。その調整にあたっては、相場が間違っているとは決して考えないことです。あくまでも今現在の相場が事実であり、自分の考え方が相場に適合しなくなっていることを自覚しなくてはなりません。
また、相場がこうなるというイメージが湧くことがあると思います。その相場観自体は多くの場合、誰しも当たっています。しかし、それが事実となるまでには思いのほか長い時間がかかりますので、イメージが湧いたからといってすぐに相場に飛び込むのではなく、ジックリとそのタイミングを待てるようになる必要があります。つくかつかないかギリギリぐらいのところに指値を置いて引きつけることがコツです。
相場がそんなところまでいくのだろうかと悩むことがあると思いますが、いったん同じようなところで多くのトレーダーが同じようなフィーリングから同方向のポジションを持つと一方向にポジションが偏ってしまい、いくはずのないようなところまで相場が反転してしまうものです。相場のエントリーは手仕舞いと同様に難しいところだけに、慎重に行うことが求められます。
利食いも損切りも潔く行うことが重要
一方、手仕舞いですが、これは自分の欲望と恐怖との戦いです。利食いの際、さらに相場がフェイバー(有利)になって儲けきれなかったらどうしようとか、ここで損切ったら相場が反転して馬鹿を見るのではないかとか、尽きぬ欲望と恐怖のためにポジションを手仕舞いきれないことが起こり得ます。
対策として、まず利益が出ていたときには「利食えてラッキー」と思うことです。利食えることを幸運と捉え、謙虚になることが大切です。そして、いったん利食ったらしばらく相場から離れ、欲望を抑えることが必要です。
一方、損切りについてはそんなに耐えないことです。相場の見方が根本的に間違っていれば、いくら我慢してもうまくいきません。傷が軽いうちにいったん潔く止める勇気が必要です。
勝っても負けてもいえることは、「相場は、これ一回限りではない」ということです。これを逃したら後がないなどと自分で自分を追い込むようなことは決してしないことです。トレーディングは、ポーカーフェイスでやるものだと思います
値動き分析という考え方を併用する
さて、私がトレーディングで使用しているツールや考え方ですが、実はそれほど大したものはありません。基本的にはローソク足と酒田五法、そして移動平均線です。こうした普遍性が高く、しかも単純なものを見ています。
あとオリジナルという意味では、値動き分析という考え方をします。この分析法では、マーケットのポジションやマーケット心理を読み取ることができます。簡単に申し上げれば、マーケットに存在するポジションの偏りによって相場の方向が決まってくるというものです。基本的に世界中の為替レートはスプレッドを外してしまえば同じものに集約しますので、値動きによって世界全体のポジションの偏りが分かるという風に考えています。
なお、値動き分析はテクニカル分析やファンダメンタルズ分析と同等に捉えており、相場を分析する上で、例えばテクニカル一辺倒になるのではなく、場合によって適当なものを組み合わせることが大切だと思います。
最も肝心なポイントは相場を楽しめるか否か
トレードのポイントで一番大事なことは、為替相場を好きになることだと思います。相場をやっていれば、何も楽しいことばかりではなく、つらいこともあります。そのつらい局面を乗り越えていくには、相場が好きであることが不可欠です。
私は相場のストーリーを、世界を舞台にした一つのスリラーを読むように推理していくところに面白さがあると思っています。好きであれば大抵のことは乗り越えていけますので、最初は難しいかもしれませんが楽しもうとする姿勢を忘れないようにしてください。
もう一つ付け加えるなら、往年の株の大相場師であった是川銀蔵翁が相場の心得その一として説いている「良く寝ること」です。特に為替相場のように24時間ノンストップのマーケットでは、割り切って寝ることも必要です。睡眠不足では集中力を失い、思うような成績は残せないと思います。
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