M001 RRレシオ・ボックス - RR ratio Box -
紹介
当インジケーターはエントリー時に損失見込み(リスク)と利益見込み(リワード)の関係をチャートにRRボックスという図形でわかりやすく描き、損失対利益の比率であるリスク/リワード・レシオを表示します。
設定したRRボックスは履歴ボックスという形でチャートに残していけます。
以下のような利点があります。
- ワンタッチでRR(リスク/リワード=利益対損失)レシオが確認できます。
- ダウ理論的なトレードの基礎作りに使えます。
- コツコツドカン克服のツールになります。
- 相場観を養うことができます。
- 自分のトレードを振り返れます。
- 戦略的な投資の根幹のツールになります。
- 取引のシミュレーションに使えます。
- さまざまな投資スタイルに活かせます。
- RRレシオに向き合うことでいろいろな投資テクニックを整理できます。
RRボックスの表示と消去
当インジケーターをチャートに追加したあとの操作は、キーボードの [/](スラッシュ)キーで行います。
キー操作の対象がチャートになっていないといけないので、キー操作の前にチャートの空白部分をクリックしておきます。
RRボックスの表示
[/]キーを押すとチャートに下の図のような「RRボックス」が表示されます。
利益側を示す青系のボックスと損失側を示すサーモンピンク系のボックスを重ねたものを当インジケーターでは「RRボックス」と呼ぶことにします。これは一般的な名称ではありません。
●価格レンジ
利益側(目標利確位置)と損失側(ストップロス位置)の高さはそれぞれ、決められた本数のローソク足をさかのぼった範囲での高値と安値で自動的に設定されます(あとで変更できます)。
描画時の高値/安値の探索範囲もパラメーター設定で変更できます。
RRボックスの高さは現在の価格がいる価格レンジを示します。価格の動きによって価格レンジがどのように移り変わっていくのかに注目すると相場の流れを捉えやすくなるでしょう。
★ダウ理論的な分析を単に「高値/安値の更新に注目する」だけでなく「ボックスの推移」と捉えると、相場の構造を読み解くスキルにつながります。
●RRボックスの上下の向き
RRボックスの上下の向きは売りと買いのどちらでエントリーするかの”目線”を表します。
描画時はRRレシオが1以上になるように自動的に向きが決められます。1以下の場合は不利なので基本的にRRレシオが有利なほうにエントリーを考えます。
ただし相場の状況や将来の価格位置でエントリーを考えたいときのために、簡単なドラッグ操作(後述)で方向を変えられます。
●ストップロスの位置
現在の価格が直近の高値/安値に近い場合や越えて推移しているときは、適当な幅(ATRを基準にした幅)でストップロス位置が設定されます。
●時間的な配置
RRボックスが配置される時間的な位置は描画時点で固定されます。つまり、横方向の移動はできません。
【黒背景での表示】
黒背景のチャートでは次のように表示されます。
★bevFXシリーズのインジケーターは、チャートに追加されるときに背景色(前景色)を判断して配色を自動的に切り替えて表示します。
ここでの図のように価格が高値/安値を更新している最中(価格レンジを拡大している)のときは、ストップロスの大きさが自動的に適当な幅に設定されます。
RRボックスの消去
RRボックスがチャートに表示されている状態で[/]キーを押すとRRボックスが消去されます。
チャートに表示されるのは1個のRRボックスだけです。
なお、選択された図形を削除する[Del]キーを押す操作でも削除できます
各部の説明
RRボックスは以下の表示要素で構成されます。RRレシオの投資戦略における意味やスプレッドとの関係などについては後述します。
Entryライン / エントリーライン
Entryラインはエントリー位置を示します。描画時の価格(Bid値)の位置に表示されます。
ラインの左の3つの操作ハンドル(操作点)の左側の2点のどちらかをドラッグすることで位置を変更できます。
右端の操作ハンドルは横方向にドラッグすることでRRボックスの幅を変更できます。
SLライン / 損切りライン
ストップロス(Stop Loss、損切り)の位置を示します。
既定の本数のローソク足をさかのぼった範囲の高値または安値に設定されます。
また、損失幅(エントリー位置からの距離)のPipsが表示されます。
ラインの左の3つの操作ハンドル(操作点)の左側の2点のどちらかをドラッグすることで位置を変更できます。
右端の操作ハンドルはなんの作用もしません。
別のラインを越える位置にドラッグするとボックスの上下を反転させることができます。
TPライン / 利確ライン
利確(Take Profit)の位置を示します。
既定の本数のローソク足をさかのぼった範囲の高値または安値に設定されます。
また、利益幅(エントリー位置からの距離)のPipsが表示されます。
ラインの左の3つの操作ハンドル(操作点)の左側の2点のどちらかをドラッグすることで位置を変更できます。
右端の操作ハンドルはなんの作用もしません。
RRレシオ / リスクリワード・レシオ
TPラインの外側にRRレシオが表示されます。
たとえば1.1RRなら、リワード(利益幅)がリスク(損失幅)の1.1倍であることを示します。
RRレシオについては後述します。
★TPラインの位置がチャート画面の上下端に近い場合、RRレシオを描画する位置が画面からはみ出してしまい、RRレシオが描かれない場合があります。 その場合、画面右端の価格表示の部分を下にドラッグして画面の縦方向の縮尺を小さくしてからRRボックスを描き直すか、TPラインを上下に少しだけドラッグしてRRレシオを再描画させてください。
Spreadライン / スプレッド・ライン
チャートは価格のBid値(売り注文の価格)で描かれているのでRRボックスが示すSLとTPもBide値です。
したがって、実際の買い注文のときはAsk値(買い注文の価格)との差を考慮する必要があります。
通貨ペアによりますが、15分足以下などの短期の時間足ではスプレッド(BidとAskの差)が無視できない幅になります。
そこでRRボックスを描画した時点のスプレッド幅をもとにして買いと売りのそれぞれで考慮すべきラインとして描画しています。
【買いの場合(Askでエントリー)】
RRボックスを描画した時点でのスプレッドがEntryラインの上に短いラインが表示されます。
上の図ではMT4のAskラインと重なっていて見えない状態です。
RRボックスと比べると、実質の利益幅はスプレッドの分だけ小さく、損切り幅はスプレッド分だけ大きく考える必要があります。
【売りの場合(Askでイグジット)】
SL(損切ライン)の下にスプレッドの幅を示す短いラインが表示されます。ストップロスの買い注文をここに合わせないとBidで描かれるチャートでの損切りラインどおりの損切りができません。
また、TP(利確ライン)の上にもスプレッドの幅を示すラインが表示されます。利確の買い注文をここに合わせないと、チャートの利確ラインのとおりに利確できません。
★スプレッド・ラインはエントリー時のスプレッドで描かれるので、実際の決済時のスプレッドとは異なります。スプレッド・ラインはあくまでもエントリー時の参考用です。
★スプレッドは取引業者によって設定され、相場状況に応じて常に変化します。 とくに早朝のサーバーの営業的な日付が切り替わる時間帯や重要な経済指標の発表のときにはスプレッドが急激に広がったりします。 ストップ注文を入れている場合、スプレッドの拡大による決済があることも意識しておきましょう。 もちろんこれらは短期足での問題であり、4時間足以上でトレードしている場合にはほとんど問題にならないでしょう。
時間足とRRボックス
RRボックスは描画されたときの位置とサイズで固定され、描画後に時間足を切り替えたときもそれらは保たれます。
下位の時間足に切り替えたときは、RRボックスが拡大されて表示されます。
上位の時間足に切り替えたときは挙動が複雑になるので注意が必要です。
上位足の時間単位に合わない場合は表示されません。たとえば1分足で18:03分が起点のRRボックスは、上位足の5分単位や15分単位と合わないのでスプレッドラインとRRレシオとTPとSLのPipsしか表示されません。下位足に戻るとボックスの表示も戻ります。
また、上位足に切り替えることでローソク足の高値/安値も変化します。それらが下位足でのTPやSLを越えた場合は後述の履歴ボックスになってしまいます。その場合、履歴ボックスを消去して新しくRRボックスを描き直すしかありません。
操作の例
RRボックスを下の図に示したようにそれぞれのラインの位置(高さ)を左側に示したレベル(Entry、TP、SL)に変更したいときの手順を示します。
Entryラインの移動
下の図のようにEntryラインの左端の操作ハンドルを設定したい高さにドラッグして高さを設定します。
★真ん中の操作ハンドルをドラッグすると水平線のままのドラッグになります。
横の変化はRRボックスの位置に反映しないので、設定したいローソク足の位置にラインをドラッグすると正確に設定できます。
RRボックスの方向変更
どのラインで操作しても同じですが、ここではTPラインをエントリーラインの上までドラッグすることでRRボックスの向きを変えます。
この操作ではTPとSLのラインが入れ替わるだけで、それぞれの位置は変化しません。 「ボックスをひっくり返す」という感覚で覚えておくとよいでしょう。
SLラインの移動
SLラインも同様に設定したい価格位置にラインの左端をドラッグします。
RRボックスの幅の変更
エントリーラインの右端の操作ハンドルドラッグすると、横方向の変化分がRRボックスの幅に反映されます。
下図のように仕上がります。時間的にはRRボックス設定から時間が経過しています。
ここでの設定は現在の価格位置でエントリーするのではなく価格が反転する位置を予想する”スナイパー型”の設定(スナイパー・エントリー)です。
この設定に従ってエントリーおよび決済するわけです。
このようにRRボックスは注文の位置決め用ツールとして使えますが、それよりも「自分の目線と狙いを明確にチャートに記し、目線がブレることなくチャートを観察できる」というメリットが大きいです。
上の図では狙い通りにエントリーラインまで戻ってきたので、リミットでの予約注文や成り行き注文でエントリーできます。エントリーラインまで戻らなかったら見送ります。
価格がRRボックスの上下どちらかを越えると下の図のようにRRボックスが「履歴ボックス」に変わります。
履歴ボックス
設定したRRボックスは価格が利確ラインや損切りラインを越えると、エントリーからイグジットの時間幅で「履歴ボックス」の表示に描き直されます。
またデフォルトで履歴ボックスに切り替わるときにチャイム音が鳴るようになっています。
★bevFXシリーズの音声アラート用のファイルをインストールしている場合、チャイム音のあとに「ドル円」や「ユーロドル」などとチャートの通貨ペア名をアナウンスします。
音声アラートファイルはbevFXの無償インジケーター「しゃべるMT4」や有償の「トライアルセット」をはじめとした音声アラート機能付きのインジケーターに付属しています。
下の図は黒背景での例です。RRボックスより以前の2つの履歴ボックスがチャートに記録されています。
ひとつ目は利確で終わり、ふたつ目は損切りで終わっていることがわかります。
履歴ボックスは、RRボックスを設定した時点でのエントリー位置と利確位置と損切位置、および保持した期間を表しています。
つまり「過去のトレードの狙いとその結果」を記録できるわけです。終わったトレードについて単に結果のプラスマイナスだけでトレードを評価するのではなく、以下のような項目でチェックするとよいでしょう。
- どの時間帯でエントリーしたか
- 相場の方向とエントリーした位置はどこだったか
- どういう根拠でエントリーしたか
- RRレシオは適切か
- ストップロス位置は適切か
トレードに上達する方法として「取引日誌を付けること」が一般的に勧められています。自分のトレード行動を言語化することで知識やメンタルにおける自分の長所や短所を明確に意識することができるからです。
当インジケーターでは単一のポジションの記録しかできない簡易なものですが、自分の取引をわかりやすく視覚化できるのは大きなメリットとなるでしょう。
実際に取引をしなくても、「もしここでエントリーするとどうなる」と取引のシミュレーションとして設定しておくだけでも、投資のセンスを磨く練習になるでしょう。
履歴ボックスの消去
履歴ボックスを消去するには、削除したい履歴ボックスをコントロールキー(Ctrl)を押しながらクリックします。
すべての履歴ボックスを消去するには、パラメーター設定画面の「履歴を残す」で「いいえ」を選択して履歴を残さないモードに切り替えます。これで描画されているすべての履歴ボックスが消去されます。このモードのままでは履歴ボックスは描画されません。
また、当インジケーターをチャートから削除すると履歴ボックスもまとめて削除されます。
RRレシオとRRボックスの活用
RRレシオは必要か?
まず前提として「勝っている投資法」が正解であって「正しい投資法」で勝てるわけではありません。
すでにFXでの自分なりの勝ち方(エッジ・トレーディング)を知っている人にとってはRRレシオは考慮しなくてよいでしょう。
逆に次のような傾向に思い当たる場合は、RRレシオを意識することによって投資スキルの土台を築けるかもしれません。
- エントリーが場当たり的になりがち
- 損切りしないで耐えることが多い
- チキン利食いしがち
投資上達のツールとして
RRボックスが示すRRレシオは”適当な目算”ではなく、一応、過去の高値/安値の価格レンジを想定したストップロスと利確位置に基づいたものです。
その機械的に設定された価格レンジについて、それが適切かどうか確認するだけでチャートの左側の高値/安値のポイントやゾーンを自分なりにチェックしていることになります。
そして、より適切な設定を考えていくことが、ダウ理論的な分析(プライスアクション分析)を肌感覚で使いこなす練習につながるでしょう。
例えば下の図は基本的にダウ理論にしたがってRRボックスを活用した例です。
全部で5つの履歴ボックスがあります。左から2つは下降トレンドで安値更新からの戻りを待って下方向にエントリーしています。
3つ目はトレンド転換狙いで上方向のエントリーですが、高値更新を狭い範囲で捉えたために損切りになっています。
これは上位足で大きな流れを確認していれば、転換の判断が早すぎるといった過ちを減らせるでしょう。
4つ目は転換後の上昇を捉えています。RRレシオ的にはほぼ1対1で微妙ですが、チャートの左側の高値が視野に入っていれば、部分利確やブレイクイーブンで有利なRRレシオでの取引にもっていけるところです。
5つ目は、高値が同じ高さで止まったのでいったん大きな戻りを予想して売りエントリーを試しています。
損切り位置は明白ですが、利確位置は一応上向きの目線が否定されていないのでどこまで下に戻るかを検討します。ここでは上昇傾向になってからの安値切り上げと直前の高値でチャネルラインがはまったので(ミドルラインがサポート&レジスタンスのように機能している)、チャネルの下ラインを利確の目安にしています。
結果的には利確位置より大きく下げる動きでした。
★チャネルラインは本来的に主観的なものなので、ここでのようにあくまでも目安として使うのが安全でしょう。もしTPの位置でチャネルでの反発を期待して買いでエントリーすると大きな含み損を抱えた状態で損切りの判断をせまられることになったりするでしょう。
いったん安値が更新されたので、図の状態からの次の見通しは判断ができません。例えば次のようなケースが想定できるでしょう。
- 大きな下げはストップロス(安値を切り上げているゾーン)を刈るための動きで、大きく上に反発していく
- 少し上に戻して大きな下げトレンドが継続する
- しばらくヨコヨコのレンジになる
★ここでのチャネルラインはbevFXシリーズの「202_チャネルライン描画」を使って描いています。3本の平行線をワンキーで描画し、ドラッグで平行を保ったまま変更できるツールです。
以上のようなエントリー練習の積み重ねを土台にして、価格が反応しそうなレベルやゾーンについて、フィボナッチリトレースメントやサポート&レジスタンスやサプライ&デマンドや、ICT/SMCのオーダーブロックやFVGなどの分析手法で”相場を読み取る”ための学習に発展させることができるでしょう。
また、他の移動平均線やボリンジャーバンドやストキャスティクスやRSIやMACDなどのインジケーターを自分の投資スタイルに合わせて判断の補助に使うことも考えられます。
★bevFXシリーズの「トライアルセット」は19本のインジケーターで、ダウ理論から各種のインジケーターまで統合的にまとています。トレードの学習および訓練用の安価なセットとしてご活用いただけます。
まとめると、RRレシオを判断するには、適切なエントリー位置と損切位置と利確位置が必要であり、それらを決定するには相場の大きな流れと自分の目線、現在の価格レンジ(直近の高値/安値)と価格位置や勢い(ダウ理論的な)についての認識および分析が必須だということです。
つまり「RRレシオ(RRボックス)の効果的な使いこなしを習得することが投資スキルの上達につながる」と言えるでしょう。
★ただし、ここでの説明がRRレシオの使い方のすべてでも正解でもありません。 例えば「RRレシオが1RR以下でエントリーしない」という縛りは、浅い戻りをしながら一方向の流れが続くような相場がエントリーの対象になりません。 これは「戦略的に見送る」ということになりますが、投資に向かえる時間帯が限られているような場合、機会損失の側面も大きくなるでしょう。 その場合、プルバック(戻り)が明確に見えるまで下位の時間足に切り替えてトレードするといった手が考えられます。 また、RRレシオを基準にした投資原則は崩さずに、特定のシチュエーションに限定したトレードルールを追加していく方法もあります。 いずれにしても経験と過去チャートの研究が大事です。
脱コツコツドカンの練習ツールとして
コツコツドカンとは小さな利益を積み重ねていっても1回の大きな損失で利益が吹き飛ぶような投資の悪習慣(悪癖)のことです。
コツコツドカンの大きな原因は次の2つです。
- 勝率にこだわる(とにかく勝ちで終わりたい)
- 損切りできない
結論から言えばコツコツドカンからの脱却は「損切りが投資手法の基本として使えるかどうか」にかかっています。
含み損を抱えたままプラスになるのを待つ無駄な時間と精神的な負担を考えると、さっさとストップロスで切って次のエントリー機会を狙うほうが”持続可能な投資”につながるということです。
勝率にこだわると「負けるよりは小さな勝ち」という”チキン利食い”を選ぶ傾向が強くなりがちです。
「損切りができない」ことと「習慣的なチキン利食い」の両方がセットになることが抜け出せない悪習慣になるわけです。
そもそも損切りは負けではありません。「次の投資行動の準備」として平然と行うことです。
勝率の代わりにRRレシオを中心におくことで、必要以上の精神的なダメージや高揚感を抑えていくことができるでしょう。
先にも述べましたが、まずRRレシオを検討する段階でチャートの左側を見て相場の流れを読むことになります。つまり、RRボックスによってストップロスの位置も利確位置もはじめから根拠のあるものとなります。
その根拠が結果的に間違っていたとしても、それは読みの確度を上げる練習をすればいいだけの話であって、重要なのは「ルールに従い根拠のあるトレードを行う」という習慣です。
RRレシオと勝率
RRレシオはリスクとリワードの比率で「1対3(1:3)」や「3RR」のように表されます。1以下は不利な状況で、数値が大きくなるほど有利なエントリーとなります。
ただし、これはエントリーの方向つまり目線が相場と合っていないと意味がありません。
損切りで決済するのは基本的に「願望やあてずっぽうの読みがはずれた」という状況ではなく、分析のズレやミスあるいは相場の予測できない”バタつき”によるものに限られるべきです。
RRレシオは分析に基づく”目線”を前提にすることによって「ギャンブルにおける期待値」とは根本的に意味合いが違うものとなります。
投資で勝ち残っていくことを前提にすると(一攫千金ではなく)、まずはRRレシオを1:1.5(1.5RR)程度を意識するのが現実的です。
この場合、勝率が4割でも10回のトレードで損失が6に対して利益も6になってマイナスにはならないからです。
例えば、RRレシオが1.5RR以上でないとエントリーを見送るというルールを決めると、大きなローソク足につられて高値や安値を追いかけたり、チキン利食いなども防げるでしょう。
RRレシオの条件によってエントリー機会は減りますが、「根拠が薄い不利な取引で損することが減る」と考えたほうが生き残りにつながります。
勝率だけについて考えると、当然、投資手法の勝率は100%を目指します。
同じような失敗を繰り返さないために、なるべくシンプルに落とし込んだ手法を、過去チャートで検証しながら、狙うべき通貨ペア、狙うべき時間帯、狙うべきシチュエーションなどを絞り込むことで確実性を増していくことができるでしょう。
後述のストラテジーテスターを使った練習によって経験に基づいた感覚的なスキルを磨いていくのもとても有効です。
スキャルピングとRRレシオ
スキャルピングは1分足などで数Pips程度の利益を高頻度で獲得していくような手法です。
利確幅もストップロス幅も経験則から決まったPips数を設定し、価格の方向とモメンタム(勢い)をローソク足やインジケーターで読み取りながらエントリーとイグジットを短時間で繰り返していきます。
これは「利確幅を小さくすれば勝率が上がる」という理屈なのでRRボックスでRRレシオを確認する必要も基本的にないでしょう。
これまで紹介してきたRRレシオをなるべく大きくすることを狙う手法とは考え方が全く異なっているわけです。
スキャルピングは玄人(くろうと)の手法で、レンジ相場(価格レンジがそれほど変動しないヨコヨコ相場など)で価格の上下の波に繰り返し乗るといった、時間帯やシチュエーションの見極めが前提となります。
傾向としてレンジ相場は日本時間の午前~午後のアジア・セッションになるので専業トレーダー向けのプロの手法と言えます。
これを一般の個人投資家が「小さな利益を狙えば勝ちやすい」と誤解すると、ただのコツコツドカンとオーバートレード(過剰な回数の取引を行うこと)に陥ってしまうでしょう。
移動平均線などをトリガーにする投資法とRRレシオ
ダウ理論的な分析ではなく、移動平均線やボリンジャーバンドやストキャスティクスやRSIやMACDをエントリーの根拠にした投資スタイルもあります。
この場合、エントリーを検討するときに「RRレシオボックスが判断した投資の有利性とストップロス位置」も参考にすることをお勧めします。価格レンジを判定する範囲(レンジ探索範囲)をローソク足200本以上などにしておくと比較的長期の目線での利確やストップロス位置を確認することができるでしょう。
エントリーやエントリーのシミュレーションの記録係としてRRボックスの履歴ボックスを活用するのもよいでしょう。失敗したときの状況を認識することで安易なインジケーターに依存したエントリーを抑えられるでしょう
RRレシオと利確のテクニック
RRボックスが示す利確位置はあくまでも直近の高値/安値を目安にした第一目標です。
目線が正しければこの第一目標に価格が達する確率はかなり高いと言えます。第一目標できっちりと利益を確保していくだけでも確実に利益を増やせますが、以下のようなテクニックによって実質(最終)のRRレシオを何倍にも増やしていくことができます。
【ブレイク・イーブン / 同値撤退(どうねてったい)】
ストップロスの逆指値注文のラインをエントリー位置から利益0か微小な利益位置に移動させることです。
RRボックスの利確ラインに達した時点でブレイク・イーブンにしておくことで、最悪でも利益0で終わるだけなので安心して利益が伸びていくのを見守ることができます。
第一目標を越えた先の目標はチャートを過去にさかのぼったり、上位足に切り替えてより上位の価格レンジを参考に決めるのがセオリーです。
ほかに「次の目標が遠いときは、RRレシオが3RRになったら決済する」といったトレード方針もよいでしょう。新しい目標に届くまでどれだけ時間がかかるか予測できないからです。
順調に利益が伸びているときは、ストップロス位置を価格に追随して移動させていく方法もあります。これはトレイリングストップ注文を設定することで自動的にできます。
【部分利確】
例えばエントリー時に同値で2回エントリーしておいて、第一目標に達した時点で半分を利確することで、もう片方がストップロスに終わっても半分のロットについてRRレシオの分だけの利益は確保できます。
半分を利確した時点で残りをブレイク・イーブンにしてもよいでしょう。
【ピラミッディング / 売り増し買い増し】
価格が第一目標をはるかに越えて推移している場合、その流れに沿って新たなエントリーでポジションを増やすことです。
新しくエントリーするときはその都度、初回のエントリーのつもりでチャートを分析することが大事です。安易なエントリーで増やしたポジションがマイナスになったりするとマネージメントが入り組んで精神的な負担が増えたりします。
以上の利確テクニックは、すべてRRボックスが示す(つまり、直近の高値/安値を根拠にした)第一目標が前提となっていることはくれぐれも注意しましょう。
それを守らないと、ブレイク・イーブンのつもりがチキン利食いであったり、ピラミッディングが単にリスクを増やすだけになったりします。とくに含み損でポジションを増やすナンピン(ピラミッディングとは根本的に異なります)は破滅への入口になりかねません。ナンピンをするほどの合理的で強い根拠がある場合でも、いったんストップロスで切って根拠に基づいてエントリーするのを基本にしましょう。
ストップロスは次のチャンスのための準備です。
ストラテジーテスターでのエントリー練習
MT4のストラテジーテスター機能で過去チャートを使った実践的な学習や訓練ができます。
ストラテジーテスターは指定した期間のチャートを再現(時間を早回し)する機能です。ストラテジーテスターはおもにエキスパートアドバイザー(EA)の動作チェック用のMT4の機能と言えますが、通常のインジケーターの動作確認をはじめ、相場の振り返りや投資法の検証などにも利用できます。
ただし、インジケーターの動作チェックには設定項目が多くユーザーインターフェイス的にも使いやすい機能とは言えません。
同梱の「●ストラテジーテスターの設定方法(bevFX).pdf」に詳しい使い方を解説しています。
一度使い方に慣れると気軽に使える機能となるでしょう。
ストラテジーテスターでのシミュレーション
下の図はストラテジーテスターで「インジケーター」を選択し(図の1)、当インジケーターをテスト対象に指定(図の2)して実行しているところです。
★当インジケーターをストラテジーテスターで実行すると、チャートの設定や背景などを自動的に設定し、チャートの左上に「bevFX Training Mode」表示します。
ストラテジーテスター実行時の設定の手間を省くためと取引用のチャートとの区別をつけるためです。
詳しい設定方法やコツは同梱のマニュアルで説明していますが、ここでのポイントは[スプレッド]の指定です。
ストラテジーテスターではスプレッドは再現されず固定したスプレッドをテスト用に指定します。当インジケーターはパラメーター設定でテスト用のスプレッドを指定できます(デフォルト値は3.0Pips)。ストラテジーテスターではPipsではなくPoint単位となっているので「30」を設定しています。
[モデル]で[コントロールポイント]を選択し、適当に再生速度を設定することでローソク足1本が数秒程度で描かれるようにすると扱いやすいでしょう。15分足の場合1日分のチャートが8分程度で描かれます。
★RRボックスの描画のための[/]キーがチャート対象になるようにチャートのどこかをクリックする必要があります。一時停止や再生の操作のあとにはチャートをクリックするようにしましょう。また、テスト中はドラッグ操作などへのレスポンスが悪くなります。履歴ボックスが描かれるときも時間がかかります。また、ストラテジーテスターでの実行時の制約によって、履歴ボックスが描かれるときのアラート音は再生されません。
この例では、一応、ダウ理論的な高値/安値の更新を確認した後のプルバック(戻り)をエントリールールにしていますが、ストラテジーテスターでは上位足に切り替えられないため、多少近視眼的(場当たり的)なエントリーになっています。
上位足を確認できない点は、ズームアウトしたり、一時停止して過去チャートを確認することで補えるでしょう。
いずれにしても、意識しなくても高値/安値の更新が把握でき、トレンドの切り替わりなどを感覚として捉えられるようになるまで練習することでダウ理論的分析が自分のスキルになるでしょう。
はじめのうちはあえてゲーム感覚でいくのもよいかもしれません。教科書的なチャートパターンやローソク足パターンの知識にとらわれず、スイングポイントに現れる同時線やピンバーやツツミ足などを見逃さない練習からはじめるとよいでしょう。
リアルチャートでの練習のメリットは、現実の相場に仕掛けられるさまざまなトラップを疑似体験できることです。「相場は常に投資家を殺しにかかっている」という認識を基本にしたいくらいです。
トラップとはダウ理論的な分析での高値/安値の更新をスマートマネー(巨大投資家)が演出(フェイク・ブレイクアウト)することでストップロスや利確注文によって個人投資家などのポジションをごっそりと横取りするようなストップ刈り(ストップハント)です。
例えばヨコヨコのレンジ相場からのブレイクはストップ刈りのエサにされる場合が多いです。
しかしこれは逆に、ストップ刈りが起こりやすい時間帯や状況を意識することで相場の大きな流れの初動を捉えるチャンスとなります。
たとえストップロスで自分のポジションが決済されても、ストップ刈り後の相場状況を見極めることで、感情的なリベンジトレードではなく、相場の変化を的確に読み取ったエントリーによって損失は取り戻せます。ストップロスを次のチャンスにつなげるわけです。
こうした、あてずっぽうではなく分析によって「相場が読める」経験をストラテジーテスターで何回も積み重ねていくことが、トレーダーとしての実力につながるでしょう。
★bevFXシリーズの「001_ものさし」の解説でもストップ狩りやRRレシオなどへの解説もしているので参考にしてください。また、ストラテジーテスターでのエントリーとイグジットをシミュレーションする「トレードシム」機能によってより実践的にトレード練習が行えます。
★ストラテジーテスターで過去チャートを振り返る(再現する)とき、bevFXシリーズの「002_日本時間とキリ番」や「P002a_日本時間とセッション」をテスト中のチャートに追加すると日付や時間や各市場のスタート時間がわかりやすくなり、相場の時間的なファクターを意識した練習ができます。
★bevFXシリーズの「トライアルセット」には「001_ものさし」と「002_日本時間とキリ番」も含まれています。ストラテジーテスターでの実行はフルセット版とほぼ同様に実行できるのでお得です。
カスタマイズ
当インジケーターはパラメーター設定によって外観などさまざまなカスタマイズができます。いくつかピックアップします。
【履歴を残す】
履歴を残したいときは「はい」、履歴を残さないモードにしたいときは「いいえ」を選びます。現在チャートに描かれている履歴ボックスもすべて削除されます。
【レンジ探索範囲】
RRボックスボックスを描画するときのレンジを判断する範囲(ローソク足の本数)を指定します。
【RRボックスの幅】
RRボックスの幅の初期値です。ローソク足の本数で指定します。
【アラート設定】
履歴ボックスが描かれるときのアラート音について設定できます。
デフォルトではアラート音と通貨ペアを音声で読み上げる設定になっています。
音声ファイルはbevFXシリーズの無料の「しゃべるMT4」などに付属しています。19本のインジケーターで構成される「トライアルセット」も30分足と4時間足やストラテジーテスターではほぼフル機能で使えるのでお勧めです。
bevFXシリーズインジケーターとの併用
当インジケーターはbevFXシリーズの他のインジケーターと併用できます。とくに「001_ものさし」は、PipsやATRのスケールなどのほかに、当インジケーターと同じくRRレシオを意識した「RRレシオバー」やストラテジーテスターで実行するトレード・シミュレーション機能なども搭載したとても多機能なツールです。
「RRレシオバー」の特徴は、リアルタイムで現在の価格レンジを4分割エリアで示し、RRレシオをわかりやすく表示する点です。
基本的に価格レンジ内でのプライスアクションを正確にとらえるための自動表示ツールで常に最新の状態を示します。表示が固定され記録性に特化したRRボックスとは補完関係にあると言えます。
下の図は当インジケーターと「001_ものさし」をチャートに追加しています。
チャートの通貨ペアのラベルなども「001_ものさし」による表示です。
レンジを4分割しているのがRRレシオバーで、それ以外にPipsやATRや日足ピボットのラインなども表示しています。
それに当インジケーターのRRボックスと履歴ボックスが1つずつ表示しています。この図のように大きめのレンジをRRレシオバーで把握し、RRボックスでエントリーに向けた小さなレンジを見るといった使い方ができます。
中期的目線と短期的目線をチャートに明示しておくだけでも、プライスアクションを基本にした戦略的な投資法の習得につながっていくでしょう。
免責事項
bevFXシリーズのインジケーターは投資家に判断材料を与えるものであり、投資を直接促すものではありません。投資の結果については一切の責任を負いません。
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