FXトレーダーのための「大人の経済」基礎講座|第8回 株式市場と為替市場の関係を理解する[雨夜恒一郎]
今回のテーマは「株式市場と為替市場の関係」です。株価はファンダメンタルズや経済指標とは分野が異なりますが、投資家心理へのインパクトが極めて大きいため、近年では為替相場に対して最も大きな影響を及ぼす要因となっています。ファンダメンタルズ分析を行うものにとって重要な材料になりつつある株式市場について、ここでしっかり学習しておきましょう。
第8回目次
1. 為替市場における「株価」とは「株価指数」のこと
2. 日本株上昇=円高になるとは限らない
3. リスクオンとは
4. リスクオフとは
5. 好循環と負の連鎖
6. リスクオン・オフの程度を示す恐怖指数
7. 株・金利・為替の三角関係
8. 第8回まとめ
※この記事は、FX攻略.com2018年1月号の記事を転載・再編集したものです
雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)プロフィール
20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。
twitter:https://twitter.com/geh02066
為替市場における「株価」とは「株価指数」のこと
一口に株価といっても、世界中の株式市場には膨大な数の株式が上場されています。われわれ為替市場の参加者には、それこそ星の数ほどもある個別株の値動きをいちいちチェックする時間はありません。そこで活用されるのが株価指数です。為替市場で「株価」といえば、普通は株価指数のことを指します。
われわれが真っ先にチェックしておかねばならないのは、米国の代表的な株価指数であるダウ工業株平均(NYダウ)です。株式市場の参加者にとって米国の株価指数といえば、より多くの銘柄をカバーするS&P500種やラッセル指数ですが、NYダウはニュースで最初に取り上げられる指数であり、何といっても誰でも知っているネームバリューがあります。為替をメインに取引する人なら普段はNYダウをウォッチし、余裕があればハイテク株が中心のナスダック総合指数をチェックしておけば良いでしょう。
日本の株価指数は、日経平均をウォッチしておけば十分です。ただし東京市場での値動きだけでなく、夕方以降の大阪証券取引所ナイトセッションやシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引されている日経225先物にも目を配っておく必要があります。前日のCMEの日経225先物がどう引けたかをチェックしておけば、当日の東証がどう寄り付くかおおよそ分かります。
また、NYダウも先物がCMEグローベックスで取引されており、アジア・欧州時間でも大きく動くことがあります。これらの指数や先物をリアルタイムで見られるポータルサイト(例:図①)がいろいろありますので、利用してみてください。
ちなみに米国や日本の株価指数と比べると、欧州や他地域の株価指数は為替市場への影響は小さめです。初級者の方は、まずは日米の株式市場をしっかりチェックする習慣をつけておけば良いでしょう。
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