ISS~衣笠式スキャルピング手法~について聞いてきた
スパンモデルを使った「再現性の高い」スキャルピング手法
蛯沢 衣笠さんはゴゴジャンにて、「ISS~衣笠式スキャルピング手法~」という電子書籍を販売しておられます。このインタビューでは、そのISSについて伺っていこうと思います。まずは簡単に概要紹介をお願いします。
衣笠 ISSは、スパンモデルを活用したスキャルピング手法です。ポイントは、誰がやっても同じ結果に収束するという、再現性の高さにあります。シンプルな手法を目指して、エントリーとイグジットのタイミングが視覚的に分かりやすいものにしました。
蛯沢 スキャルピングは、一般的に裁量判断の割合が大きくなりがちですが、ISSでは再現性を重視しているんですね。では、手法について具体的に伺います。まずは分析やトレードに用いる時間足と、表示するテクニカルについて教えてください。
衣笠 チャートは、1分足、5分足、15分足、1時間足。これにスパンモデルと、MACDを表示します。
蛯沢 チャートはどんな順番で並べていますか?
衣笠 左上が1分足、左下が5分足、右下が15分足、右上が1時間足です。
蛯沢 ちなみに、MT4ですと、スパンモデルは標準搭載されていません。
衣笠 スパンモデルのインジケーターを、ネット検索して用意いただく必要があります(編注:FXTFのMT4にスパンモデルが搭載されています)。
蛯沢 スパンモデルと検索してインジケーターファイルをMT4に入れるか、もともと標準搭載されているチャートソフトのブローカーを使う必要がありますね。では、スパンモデルとMACDのパラメーターはいくつに設定すればよろしいでしょうか?
衣笠 スパンモデルは「9、26、52」、MACDは「12、26、9」ですね。
蛯沢 それでは次に、エントリーとイグジットについて教えてください。
衣笠 基本として、5分足をメーンに見ます。その5分足で発生している流れと、その上位の15分足で発生している流れが一致していれば、その方向に合わせて1分足でエントリーとイグジットの判断をします。具体的には、雲と遅行線で、環境認識を行います。これはとても簡単で、雲が青で遅行線が陽転(遅行線がローソク足よりも上側を推移)していれば買いを検討する局面、雲が赤で遅行線が陰転(遅行線がローソク足よりも下側を推移)していれば売りを検討する局面と考えます。そして、売買タイミングはMACDで行います。ロングの場合ですと、MACDのゴールデンクロスでエントリー、デッドクロスでイグジット。ショートの場合は、その逆ですね。イグジットはMACDのクロスを目安にして、そのときが含み損なら損切りだし、含み益なら利益確定となります。
蛯沢 まず、5分足、15分足でトレンドが一致しているかを見る。一致していれば、1分足で、その方向にトレードする…ということですね。
衣笠 はい、そうです。もし5分足と15分足が一致していなければ、トレードを見送ります。あるいは、5分足と15分足が一致しているんだけど、1分足が逆方向に行っているというときは監視対象としておき、方向が一致するのを待ちます。その間に、ほかの通貨ペアをチェックしてまわる感じですね。
蛯沢 ちなみに、どの通貨ペアがお勧めですか?
衣笠 私は6種類の通貨ペアをチェックしています。ドル円、ユーロドル、ユーロ円、ポンドドル、ポンド円、ユーロポンドです。
蛯沢 一つの通貨ペアで、どれくらいのトレードチャンスが訪れますか?
衣笠 通貨ペアや時間帯にもよりますが、おおよそ1時間に1~3回です。
蛯沢 どれくらいの値幅を狙うトレードになりますか?
衣笠 例えば5回トレードしたとすると、2回がわずかな利益、2回がわずかな損失、1回が大きな利益というイメージです。8割は1~2pipsの勝ち負けを繰り返して損益がトントンのまましのぎつつ、残りの2割で大きく伸びるところを一気に10~20pips取ろうという設計です。
蛯沢 ちなみに、1時間足もチェック対象としていますが、こちらはどのように活用しますか?
衣笠 5分足と15分足に加えて1時間足も同じ方向なら、より自信が持てますので、ロットを上げられます。同じような意味で、1時間の方向が食い違っているなら、ロットを下げることも考えますね。
相場についていくんじゃない、シナリオに従うんだ
蛯沢 この手法は、どんな経緯から作られたんですか?
衣笠 珍しいことだとは思うんですが、手法の教材を作ろうという目的がありました。というのも、ツイッターなどのSNSを見ていると、FXで負けている人がものすごく多いじゃないですか。そういう人にも勝ってもらいたくて、何か参考になる教材を作ろうと考えたんです。手法を作るにあたって、誰がやっても同じように勝てるということが重要だと考えました。優位性があるのはもちろん、誰でも簡単に実践できること。そういうところから考え出したのが、この手法なんです。
蛯沢 再現性を重視したわけですね。ところで、もともとのFX歴は?
衣笠 FXを始めて4年くらいです。最初の2年半はずっと負けていました。そのときは、移動平均線とトレンドライン、チャネルラインを表示して、ブレイクアウト狙いというのをやっていました。それで全然勝てなかった。
蛯沢 いわゆる王道の手法です。それが、うまくいかなかったと。
衣笠 トレンドラインの引き方って、人によって違うじゃないですか。誰がやっても同じにならない。なりづらい。そんな悩みを抱えていた1年半くらい前に、スパンモデルというテクニカルを見つけました。雲が青くて遅行スパンが陽転なら買い、というように一目で見て、誰でも分かるというのが気に入ったんです。それで、何とかこのスパンモデルを使って自分の手法を確立したいと思って研究しました。
蛯沢 そんな想いから確立したISSですが、この手法はどんな人に向いていますか?
衣笠 一番お勧めしたいのは、FX初心者です。今勝てていない人、中でも根拠のないトレードをしている人、感情的にやってしまう人にお勧めしたいですね。ISSは一目でできる、分かりやすさがあります。
蛯沢 ISSを使う上でのポイント、注意点はありますか?
衣笠 ISSはトレンドフォローが基本で、レンジ相場は苦手です。その苦手な局面というのは、1分足までの方向が一致していないときです。1分足、5分足、15分足で方向が一致していないのにエントリーするのは避けてください。
蛯沢 レンジで勝負しないことが、損失を抑えるということですね。では、利益をもっと取るにはどうすればよいでしょうか?
衣笠 イグジットのルールを遵守することですね。MACDのクロスが確定するまでは、ポジションを持ち続けてほしいです。というのは、例えば含み益が出ているところから、逆行して損切りになっちゃうことがあるじゃないですか。それを何度か経験してしまうと、クロスを待たずに利食いしたい気分になる。だけど、そういう早期利食いをする癖がついてしまうと、10pips、20pipsと取れるような局面を逃してしまうことになります。それはもったいないことです。損小利大を目指したいので、取れるところは大きく取りましょう。そのためには、クロスが出るまではしっかりと持ち続ける必要があります。
蛯沢 資金管理などでの注意点はありますか?
衣笠 自動損切り設定をお勧めします。15pips、20pipsくらいに置いておくと良いと思います。例えば損切りが2回、3回連続することもあると思うんですが、4回目になるとメンタル的に損切りできなくなってしまうなんて人もいる。そんなときに大きく損の値幅が出ちゃうと、その後に挽回するのが難しくなってしまいます。そうしたメンタルで損切りができないことを予防するために、自動損切り設定を置いておくのが良いと思います。実際に私は20pipsに置いています。
蛯沢 ありがとうございます。ISSの概要が掴めました。今回伺った内容が、ISSの基本中の基本の部分になるかと思います。「ISS~衣笠式スキャルピング手法~」という電子書籍では、そうした基本の他に、どんな内容が盛り込まれているのか、教えてください。
衣笠 今回のインタビューでは、ISSのお話を中心にしたため、スパンモデルの解説が基礎の部分だけだったように思います。そのスパンモデルを、電子書籍ではより詳しくまとめてあります。具体的には、スパンモデルの基礎と、高勝率ポイントの見抜き方、「フラクタル構造」により勝率アップを図る方法などを整理して解説しています。これらはISSに限らず、他の手法でも活用できますので、ぜひ基礎から応用的な実践方法まで、順序立てて学んでいただければと思います。そして、ISSについては、チャート画面を用いて、具体的なトレード例をまとめています。誰でも間違いなくISSを実践できるように作っています。
蛯沢 それでは、ISSに興味を持った人や、FX初心者に向けて、アドバイスをお願いします。
衣笠 初心者の方って、相場の動きに合わせてロングかショートか決めがちだと思うんです。例えば、急騰したから上方向に付いていこうとか、逆張りで下方向を狙おうとか。そういった考え方は、そもそも間違いです。相場の動きに対して自分がどうするのか考えるんじゃないんです。じゃあ、どうするのが正解かというと、自分が先にトレードシナリオを立てておいて、そのシナリオ通りの動きになったらエントリーとイグジットをするということです。シナリオを主体に考えるわけです。
ISSは、エントリーシナリオ、自分が待つべきシナリオが一目で分かります。その後はMACDのサインを待つだけ。初心者でも簡単に、優位性の高い局面でトレードができます。繰り返しになりますが、相場についていくんじゃない、エントリーシナリオに従うんだということを、初心者の方にお伝えしたいですね。こうした基本的なことを学んで身につける上でも、ISSを使ってもらいたいです。
ISS~衣笠式スキャルピング手法~
https://www.gogojungle.co.jp/tools/ebooks/16231
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