鉄腕アトム[森晃]
森晃さんプロフィール
エコノミスト。シンクタンク(アメリカ合衆国)に所属。専門分野は、為替政策、金融政策、マクロ経済政策、金融規制。市場関係者、金融当局者、政策当局者と交流し、多方面から為替の動向について分析を行っている。
※この記事は、FX攻略.com2019年6月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
麻生太郎副総理兼財務大臣は、愛読書が漫画であることはよく知られている。筆者も今でも時間があれば漫画を読むし、日本の文化を発信する強力なツールだと思っている。実際、昨年米国から日本に1年間留学をしていた知り合いのお嬢さんに、クリスマス・パーティーのときになぜ日本に留学したのか尋ねると、「漫画の世界を体験したかったから」といっていたのはとても印象深かった。
漫画といえば手塚治虫氏の作品は大好きである。学生時代に、お世話になっている先生の研究室を訪ねたことをよく覚えている。難しい政治や経済の本に混じって『鉄腕アトム』の本を見つけたことを思い出す。
読者の皆さまに、鉄腕アトムについて解説する必要はないだろうが、作品のコンセプトについて書きたい。科学長官である天馬博士が自分の息子を失い、その息子そっくりに作ったロボットがアトムである。アトムと人間との違いや、アトムには人間の権利があるかどうか、アトムと人間は共生できるか、といったことを考える作品である。
人工知能(AI)取引
2010年代初頭に、High Frequency Trading(HFT)と呼ばれるミリ秒単位の頻繁な売買で利ざやを稼ぐ取引が話題になった。このような高速かつ高頻度の取引の金融規制について、関係者とよく議論したことを思い出す。その後、昨今はHFT取引の他にAI取引についても議論される。
ボストン・コンサルティングのリサーチによれば、ディーラーによる取引でなく機械に運用される資金は、2017年に約1800兆円に達しているという。世界の運用総額に占めるシェアは約21%となる。
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