元為替ブローカーから学ぶ売買プランの作り方|第23回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析⑯[浅野敏郎]
浅野敏郎さんプロフィール
あさの・としろう。東短グループの外国為替売買仲介業者である、トウキョウ フォレックス株式会社、さらには、為替取引の世界シェア80%以上を誇るEBS社(現ICAP)等での勤務経験を持ち、1985年のプラザ合意、その後の超円高時代、バブル崩壊、2000年のユーロ統合などの歴史的相場を第一線で経験し、相場観を養う。その後、2社のFX取引会社の創業、プライベートFXファンドのディーラーも経験。現在、投資の学校グループの日刊ブログで執筆を担当。特技の映像編集を活かした分りやすい映像作品の支持者も多い。
浅野敏郎さんが、自身の経験と知識に裏打ちされた売買手法や相場観構築のノウハウを余すところなく教えてくれる本企画。今回も引き続き、直近と今後のドル円相場を読み解いてもらい、その上で最適な売買プランを提示していただきます。
※この記事は、FX攻略.com2019年3月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
週足は様子見が順当 日足は一瞬で三役逆転
2018年末は米国の利上げを皮切りに、各相場は大きめな巻き戻しが発生しました。特に株式市場は歴史的な下げを演じました。
それに比べてドル円相場は、今のところ約3円程度の下落に留まっており、2017年は約5円幅で上下を繰り返していたことを考えれば、調整の範囲だといえますが、値幅というよりも相場の位置が変化してきており、これまでの買い目線は修正せざるを得ません。ただ日米の短期金利差は、直ぐに縮小しませんから、下げに対してもあまり期待できない地合いとなっています。
今月のチャート修正は特にありませんので早速、週足から見て参ります(チャート①)。前月号の時点で、相場はまだ三役好転を維持し、概ね転換線をサポートにできており、目線は上昇で問題ない状況でした。受動的に上昇する基準線に沿った動きになるかどうかに着目していたわけですが、2週前の急落で一気に基準線までをも大きく下抜き、直近週も安値圏で揉み合っています。
基準線の対象下値は既にQへ移り、ここを割り込まない限りは現在の112.16円から水平推移する一方、転換線は既に能動的な下落をし始め、現在はギリギリ逆転を回避していますが、対象高値は今後徐々に切り下がるため、一時的にも交差は免れないでしょう。安値Mから切り返した相場は、細かく押しを入れながらも直近安値を割り込むことなくRまで上昇しましたが、今回初めて押し目Sを割り込んだことからも、基準線が暗示するとおり、しばらくはQを最大とする揉み合いを想定するのが自然です。
現在、109.68円で水平に伸びている先行スパンの上限はM-Rmidを意味していますが、L-Mmidや安値Qなどとも概ね一致することから、この水準を割り込んで引けることがあれば目線は修正が必要です。
R-S-R①-X(Xは仮定)の三波動は下落を構成していますが、直近週で時間切れとなるため、この押しの波動を第二波動とするM-R-T-Xという上昇の三波動の可能性も想定できます。ただし、遅行スパンは相場がこのまま推移しても、次週は高値Pの前週足と交差するため、逆転する可能性が高いことだけは注意しておきます。
週足を見る限り、目先は下落の可能性が増えたことで押し目買いも難しい一方、先行スパンの上にいる以上は今からドル売りを仕込むのもルールに反することから、向こう1か月は様子見が順当にみえます。
次は日足です(チャート②)。前月号以降、幾度か先行スパンの下抜きを試す動きがみられたものの、下ヒゲをつけて戻されるなど、しばらくは強いサポートとして機能していましたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)当日の12月20日足で一気に下抜け、揉み合いで一時的に逆転していた転換線と基準線を引き連れて一瞬のうちに三役逆転となっています。
この2本線が先行スパンの下に出るのは安値M以来であることからも、M-Rの上昇波動は一旦、終了したとみるしかありません。R-S以降、三角保ち合いを作って下抜けた値動きは、時間調整のタイミングも合っており、形は非常に悪い印象です。
よろしいですか?