板情報の見方・読み方・使い方〜板読みを覚えてワンランク上の投資家を目指す!|第2回 有利な価格でエントリーする方法[大西洋平]
大西洋平(おおにし・ようへい)さんプロフィール
金融ジャーナリスト。出版社勤務を経て95年に独立し、マネー誌やビジネス誌、週刊誌などに金融経済分野を中心とした記事を寄稿。市場の最前線で活躍中のアナリストやストラテジスト、さらに上場企業トップの取材も多数手掛ける。FXをはじめ、金融取引全般に精通。
※この記事は、FX攻略.com2019年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
成行注文の数量から仕掛けどころを判断
板情報とは、目の前で繰り広げられている買い手と売り手の駆け引きをリアルに把握できるものです。今回は買い手の立場から、板情報を読み解いて有利な価格でエントリーする方法について考えてみましょう。
まずは図①に注目してください。もしも、あなたがこの銘柄を買いたいと思っていたら、いくらで指値を入れますか? できるだけ安く買いたい一方で、約定の確率も高めたいなら、1499円で買い注文を出したいところでしょう。しかし、現時点で同額の売り注文はありません。1499円の指値を入れる売り手が出てこないと、この銘柄を買えません。
もちろん、ここであなたが成行注文を入れたとしたら、状況は異なってきます。あなたが出した注文の株数が30000株以内であれば、1500円で約定することになります。また、あなたが入れたのは1499円の買い指値だったとしても、購入希望株数に見合う成行の売り注文が出ていれば、その値段で約定します。
例えば、仮にこの場面において47000株に達する成行の売り注文が出たとしましょう。すると、あなたも含めた1499円での買い注文(45000株)は全て約定し、板情報のその枠は空欄となります。そして、1498円の買い注文についても、先着順で残る成行売りの2000株分が約定し、同欄は40000株から38000株に修正されます。
こうして成行注文は速やかに約定してしまうので、その注文数は前場と後場の寄付前しか板情報に表示されません。取引が始まる前に成行注文の数量を確認しておけば、自分が入れる指値を決める参考になります。割安な値段で出ている指値買いの数量を上回る成行売りが入っていれば、強気で買いを仕掛けられると判断できるでしょう。
なお、板情報の最も上段にはOVER、下段にはUNDERという欄があって、それぞれに数量が表示されています。OVERはもっと高い価格で入っている指値売りの数量で、UNDERはもっと安い価格で入っている指値買いの数量を意味しています。
両者の数を比較してOVERが大きく上回っていれば、「もっと高く売りたい」と考える投資家が主流で、強気の相場である様子がうかがえます。逆にUNDERが目立って多いと、「もっと安くなければ買いたくない」と買い手が思っていることを意味し、相場は弱いと判断できそうです。
よろしいですか?