外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|3年間、大波乱が続いた年始相場。果たして2019年はどうなる?】
佐藤正和さんプロフィール
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演する他、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
2016年の原油価格暴落、2017年のトランプ相場の揺り戻し、2018年の米国長期金利上昇による株価暴落など、ここ3年間の年始相場は波乱続き。2019年に関しても、米中貿易戦争や米国長期金利の上昇、原油安など不安材料が既に相場に影を落としています。過去3年続いた激動の年始相場を振り返り、2019年のFX取引に役立てましょう。
※この記事は、FX攻略.com2019年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
米中貿易戦争、米国長期金利上昇、原油安など2019年年始も不安材料は多数ある!
2019年が間近に迫ってきました。相変わらず、ドル円相場のポジティブ要因としては好調な米国経済や、それに伴う米国政策金利の引き上げ継続。ネガティブ要因としては米中貿易戦争に加え、2019年から協議が開始される日米物品貿易協定(TAG)などトランプ大統領の保護主義政策の矛先が日本にも向けられそうなことです。さらに米国長期金利の上昇やトランプ大統領の「原油価格はもっと低いはずだ」発言などをきっかけにした原油安などが挙げられます。
特に、ここ3年間は年始早々から株や為替など金融市場に悪材料が噴出し、正月気分も冷めやらぬうちに相場が激しく乱高下する展開が続いています。そこで今回は過去3年の年始の動きを振り返ることで、2019年の新年相場に対する下準備をしておきましょう。
チャート①は、今から約3年前の2016年年始をはさんだドル円の日足チャートです。2016年年始は、2015年夏に続いて人民元が突如切り下げられたこともあり、中国経済の減速懸念が再燃。2015年12月に米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和から初の利上げに踏み切ったことでドル高が進み、新興国の経済減速懸念が台頭。ドル建てで取引される原油価格が1バレル26ドル台まで暴落して、為替市場でも急速なリスクオフが進みました。
それにトドメを刺す形になったのが2016年1月29日に黒田日銀が打ち出したマイナス金利の導入でした。ドル円は1月下旬に一時1ドル121円台を回復しましたが、日銀のマイナス金利導入発表翌日からは「マイナス金利=金融機関の収益圧迫」という連想が働き、2月11日には1ドル110円台まで10円以上急落しました。
近年の金融市場では、2016年の原油安など世界経済を巡る「悪材料」が出ると、まずは史上最高値圏にある米国株など株式市場が暴落。それにつられて為替市場でもリスクオフの流れが急速に進む傾向が顕著です。
テクニカル指標では、チャート①に示したように、MACDのシグナルとのクロスや0ライン割れ(=下降トレンド入り)が、急落、暴落の予兆シグナルとして有効に機能しそうです。また、日銀のマイナス金利発表があったAの地点のように、これまで支持帯だった前のレンジ相場の下限に為替レートの再上昇が跳ね返されると、急落が起こりやすくなっています。
その動きはチャート上のBやCでも同じ。為替レートの急落を狙って売りを仕掛ける場合、「いったんブレイクされた過去のサポート帯は、その後、レジスタンスとして機能する」という視点を持つと、戻り売りで利益を得るチャンスを生かせるでしょう。
よろしいですか?