何処へ行くのかドル円相場![太田二郎]
太田二郎さんプロフィール
おおた・じろう。FXストラテジスト。1979年にザ・ファースト・ナショナル・バンク・オブ・ボストン東京支店にてFX取引を始める。後にマニュファクチャラーズ・ハノーバー・トラスト銀行、BHF銀行、ナショナル・ウエストミンスター銀行、ING銀行で法人向けの為替取引に従事、その後、リテールFXに従事し、米国のGFT東京支店で営業、後にマーケット・ストラテジストを経験、現在は個人投資家として活躍。
※この記事は、FX攻略.com2019年1月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
米中間選挙がドル円に与える影響は?
本稿をご覧になっているころには、米中間選挙の結果が判明し、それなりに為替相場が動いていることでしょう。10月22日付のWSJ/NBC調査では、中間選挙でトランプ大統領の支持率が上昇する一方で、議会選では民主党がリードするという微妙な結果が予想されていました。
ユーロやポンドは政治的圧力で相場変動が激しくなる可能性が高い反面、ドル円相場は米中間選挙で共和党が信じられないほどのぼろ負けをするか、リーマンショック級の激震が発生しない限り大きな動きは期待できそうにありません。105円~120円のレンジで推移する可能性が60%、より円高の可能性が10%、より円安の可能性が30%と考えています。
市場では民主党が下院を奪回し、共和党は上院の過半数を維持する可能性が高いことがコンセンサスとなっています。結果として議会のねじれ現象が発生することになりますが、民主党案に対して上院共和党の反対や大統領拒否権を行使することで、政策的に大きな変化は期待できないでしょう。今までの経済政策を持続する可能性が高いと考えられ、為替市場に与える影響は限定的で円高へ動いたとしても1~2円程度にとどまるものと思われます。
両院とも民主党が抑えることにでもなればサプライズで、規制緩和の遅れや景気減速の懸念が強まりドル売りが進む可能性は高く、ドル円は105~108円程度の円高が考えられます。この逆に、両院とも共和党が抑えることになれば、どの程度の議席差で勝利したかによっても変わりますが、規制緩和は継続されトランプ大統領の強権がさらに強まり、円安が進んで115~118円が視野に入ると思われます。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)の継続的な利上げが続けば120円台へ上昇する可能性を考える必要がありそうです。
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