仮想通貨の始め方|第10回 仮想通貨の制度、環境と値動き[不動修太郎]
サトシ・ナカモトと名乗る人物がビットコインなど仮想通貨の技術の論文を発表したのは2008年ごろとされているので、仮想通貨の歴史はわずか10年程に過ぎません。しかし仮想通貨を取り巻く環境と価格は、実にめまぐるしく変化しています。今回は、不動修太郎さんから最近の仮想通貨の制度、環境と価格相場の見通しについての話をうかがいます。
※この記事は、FX攻略.com2019年8月号の記事を再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
不動修太郎(ふどうしゅうたろう)プロフィール
為替の講師、執筆者。出版社からセミナーDVD、対談CDを発売。金融取引所、証券取引所、FX業者、投資信託業者などでの講演の他、雑誌への執筆、FX・株式のスクール講師を務めている。
公式サイト:不動修太郎の「ニュース報道の裏側」
twitter:https://twitter.com/syutaro_fudo
仮想通貨の名称
英語圏で仮想通貨は、cryptocurrency(クリプトカレンシー)と呼ばれており、この単語を日本語に直訳すると「暗号(化された)通貨」になります。一方、日本では2014年にマウントゴックス事件が新聞やテレビなどのマスコミで「仮想通貨(ビットコイン)」の盗難事件として大きく報じられ、それ以来、仮想通貨はほとんどの日本人によく知られた言葉となりました。
ところが、2018年ごろから日本の財務省ホームページなど公式な文書の中では、仮想通貨の代わりに「暗号資産」という名称が多く使われるようになりました。一例としては、財務省のホームページ内資料の「20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)」の中で暗号資産という用語が繰り返し使われています。今後、仮想通貨は国際的にも資産として扱われる方向になりそうです。既に日本当局の文書の中では「仮想通貨(暗号資産)」というカッコ付きの表記が多くなっています。
さて、経済の規模が小さく、不安定な国でも、その多くが自国で通貨を発行しています。そのような国では自国通貨がインフレに見舞われることがあり、国内でドル、ユーロなどのメジャーな通貨が歓迎されることが多いです。とはいえ、一つの国で数種類の通貨が大量に使われると、その国家が景気対策として通貨量や金利を調整する財政運営が難しくなってしまいます。
日本の金融当局は、近い将来ビットコインなど仮想通貨の流通量が拡大し、経済への影響が大きくなることを見越して仮想通貨を通貨の一種ではなく、資産として扱いたいのかもしれません。
よろしいですか?