2019年06月20日 08時30分:通貨トレード戦略[江守哲氏メルマガより]
GogoJungleが提供している江守哲さんの投資メルマガ「江守哲のリアルトレーディング・ストラテジー」より、今朝配信されたものからほんの一部をご紹介。
〔CURRENCY MARKET〕 ドル円は下落。FRBが年内の利下げを視野に入れたことから、円買い・ドル売りが進み、108円台前半に下落した。FOMC声明では、経済情勢を「忍耐強く」見極めるとしてきた文言を削除。米中貿易戦争の先行き不透明感の高まりやインフレの低迷を指摘した上で、「景気拡大を持続させるために適切に行動するだろう」と言及し、年内に利下げに動く可能性を示唆した。また、FRBが公表したFOMC参加者17人の経済・金利見通しでは、年内1回以上の利下げを見込む参加者がこれまでの0人から8人に一気に増えたことも明らかになった 。これを受けて、年内の利下げ観測が一段と高まり、長期金利が低下する中でドル売りが進行し、ドル円は一時107円台に突入した。ただし、FRBによる利下げへの方向転換は、市場ではある程度織り込み済みだったことから、ドルが極端に下げることもなかった。ただし、ドルは対ユーロ、対ポンドで下げている。一方、5月の英国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.0%上昇だった。航空券の価格上昇の緩和などを背景に、インフレは前月の2.1%からわずかに減速した。
【通貨トレード戦略】 ドル円は新規でショートとします。かなり低い水準ではありますが、戻りが鈍いため、いったんショートにして様子を見ます。108.60円を超えないと上値追いは難しい状況です。日本株が上昇すれば、多少は円安気味になるでしょうが、日銀の政策にも限界があり、円高を止めるのも簡単ではないでしょう。円高で株価が維持できるかはわかりませんが、ヘッジの意味でもドル円はショートにしておきたいと考えます。党首討論は完全に期待外れでした。期待したほうが悪かったといえます。しかし、まだ衆院解散の可能性はあります。この数日間の動きをよく見ておきます。
FOMCは想定通りでした。パウエル議長も会見で失敗しなかったようです。これまでは市場のことを理解していない会見で、ひどいものでしたが、ようやく会見当日の株価も下げなくなり、これまでの悪夢は払しょくされたといえるかもしれません。今後もFRBの政策への関心は高いままでしょう。7月利下げの確率は100%ですが、これがどのように変動するかに注目しておきます。株高になったときに、利下げ確率が低下するようだと、これが8月相場の急落リスクにつながります。7月中はかなり安心できると考えていますが、それでも注意は必要です。
繰り返すように、今後は日本の政局やG20首脳会議が重要な材料になります。特に米中首脳会談でのディールの可能性を見ておきます。ここまではシナリオ通りです。米中首脳会談で表面上でも電撃的な暫定合意があれば、株高・円安が急速に進むことも十分に考えられます。いまはそのような期待が全くないだけに、想定外の出来事になる可能性もあるでしょう。これに衆院解散・衆参ダブル選挙が加われば、これは大変なことになります。市場が想定していないだけに、さらに株高・円安となるでしょう。月末までは外交と国内情勢の材料から目が離 せません。歴史的な動きになりそうです。ただし、楽観的なシナリオ通りになった場合でも、賞味期限は7月いっぱいでで、今年は8月が鬼門になるとみています。
IMM通貨先物市場におけるドルの対G10通貨のロングは金額ベースで321.14億ドルに減少しましたが、なお高水準です。つまり、ドル売りの余地が非常に大きい状況は変わっていません。一方で、ドルは対新興国通貨では32.69億ドルのショートで、これも少し減りましたが、まだまだドルの対新興国通貨ではショートです。この買い戻しが今後は入ってくるでしょう。そうなると、新興国からの資金流出のリスクを考えておく必要があります。これはリスクオフにつながります。結局はクロス円が下げやすい、つまり円高になりやすいとい えます。ドル金利の低下観測が強まり、ドルロングの解消が進めば円高につながりやすい状況は今後ますます強まるでしょう。株高基調が続いているうちは、この動きは出づらいといえますが、8月を境に円高の勢いがきわめて強くなるのではないかと考えています。
ユーロ円はショートを維持します。
ユーロドルはショートを維持します。ユーロポンドはロングを維持します。
ポンド円はショートを維持します。
ポンドドルはショートを維持します。豪ドル円はショートを維持します。
豪ドル/米ドルはショートを維持します。南アランド/円はロングを維持します。
米ドル/南アランドはショートを維持します。トルコリラ/円は新規でロングとします。
米ドル/トルコリラは新規でショートとします。NZドル/米ドルはショートを維持します。
米ドル/カナダドルはロングを解消し、新規でショートとします。
米ドル/メキシコペソはショートを維持します。新興国通貨は変動が激しいので、ポジション量は主要通貨の4分の1以下にしましょう。また、無理にポジションを取る必要もないと思います。
『江守哲のリアルトレーディング・ストラテジー』(江守哲)より引用。
FOMCで年内利下げの期待が大きくなりましたが、市場では織り込み済みであったことから大きな動きはありませんでした。本日は重要な経済指標が数多く予定されているので、こまめなチェックをしておきましょう。(編集部)
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