FOMCで利下げの準備は万全、あとはトランプ政権の米中貿易交渉次第[YEN蔵氏メルマガより]
GogoJungleが提供しているYEN蔵さんの投資メルマガ「リアル・トップ・トレーディング」より、今朝配信されたものから一部をご紹介。
【相場観】
注目されたイベントのFOMCを通過して株高、債券利回り低下、ドル安、円安となりリスク選好の動きとなりました。FOMCの結果から検証してみましょう。
金融政策は政策金利のFF金利を予想通り2.25~2.5%に据え置きました。しかしFOMCはハト派的なメッセージを示しました。ステートメントでは「辛抱強く判断する」から「注意深く監視し、成長持続のため適切に行動」という政策の運営方針を示しました。 FF金利の予想であるドットチャートの中央値は2019年末が2.375%(3月2.375%)、2020年末2.125%(2.625%)、2021年末2.375%(2.625%)、長期2.5%(2.75%)となりました。2019年末の中央値は3月と比べて変化がありませんでしたが、据え置きと2回利下げが拮抗しており、利下げ派2回利下げが増加しました。
声明文の変化とドットチャートの変化によって、市場はFOMCのスタンスがハト派的とみなしました。
FOMCの経済見通しはGDPの前年比成長率は2019年2.05→2.1%、2020年は1.9→2%、2021年は1.85→1.9%に上方修正しました。景気の現状判断はやや下方にシフトしましたが、経済活動全般は拡大のペースが堅調ながらインフレが抑制されている中で経済成長に対する不透明性が高まり、インフレ率の下振れリスクの可能性に危機感を抱き、それに対処するためにハト派的なスタンスに転じたということだと思います。
また今週28~29日に行われるG20大阪サミットでは米中首脳会談が予定されており米中摩擦が多少なりとも緩和する可能性もあります。
先週マーケットがリスク選好となったのはFOMCでの緩和的スタンスと、米中問題の進展期待からでした。
前週の週刊レポートでも書きましたが、再選を狙うトランプ大統領としては来年の春から夏にかけて経済が好調で株価が上昇することがベストです。その意味では今年は多少の株価と経済の減速があっても自分の政策の正当性をアピールするために、中国をはじめ各国に対して強気の姿勢を貫く可能性はあります。そのためには経済と株価がクラッシュしないための金融政策の緩和は必要かもしれません。
今回のG20によって何らかの合意、あるいは先送りするにしても市場を落ち着かせる材料が出て米国株が市場最高値を越えるようなことがあれば7月の利下げは見送られる可能性があります。
FOMCは米中問題のリスクに対していつでも金融緩和を行える準備を今回整えたと思います。その準備をしつつ、トランプ政権の貿易交渉の行方を見ながら、金融緩和をにおわせることによって市場の期待を長続きさせる戦略を維持すると思われます。 G20が始まるまでは期待値からリスク選好の動きが継続、週末をまたがずにポジションをクローズする戦略で望みたいと思います。
YEN蔵のリアルタイムメルマガ『リアル・トップ・トレーディング』(田代岳)より引用。
先週のFOMCによって利下げの期待が高まったのは確かですが、その時期はトランプ大統領の米中問題への対応・進展次第となりそうです。今週は各経済指標、FRB議長発言、週末大阪で行われるG20が重要ですので注目しておきましょう。(編集部)
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