元為替ブローカーから学ぶ売買プランの作り方|第21回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析⑭[浅野敏郎]
浅野敏郎さんが、自身の経験と知識に裏打ちされた売買手法や相場観構築のノウハウを余すところなく教えてくれる本企画。今回も引き続き、直近と今後のドル円相場を読み解いてもらい、その上で最適な売買プランを提示していただきます。
※この記事は、FX攻略.com2019年1月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
浅野敏郎さんプロフィール
あさの・としろう。東短グループの外国為替売買仲介業者である、トウキョウ フォレックス株式会社、さらには、為替取引の世界シェア80%以上を誇るEBS社(現ICAP)等での勤務経験を持ち、1985年のプラザ合意、その後の超円高時代、バブル崩壊、2000年のユーロ統合などの歴史的相場を第一線で経験し、相場観を養う。その後、2社のFX取引会社の創業、プライベートFXファンドのディーラーも経験。現在、投資の学校グループの日刊ブログで執筆を担当。特技の映像編集を活かした分りやすい映像作品の支持者も多い。
高値R・安値SとQ-Rmidを追加
チャート① 出所:TradingViewによるUSDJPYチャート
それでは週足分析に入る前に、今月の修正点です(チャート①)。まず、この1か月に出来上がった新たな押し目波動に対して、暫定的に高値Rと安値Sを追加しました。N-O-P-Qを一波動ずつ繰り上げようかと思いましたが、Oを起点とする三波動の時間がまだ2週間残っているため今回も保留します。R-Smidは転換線、O-Rmidは基準線が該当するので、Q-Rmidを新たに加えました。( )内の数字について今は触れないことにします。
週足はレンジに近く難しい相場状況に
さて今月の週足チャートですが、大きな流れは殆ど変わらないため、いつもより範囲を近くして、安値M以降の細かい上昇波動を日足と比べ易くしました。もちろん、重要な節目と仮定している高値Lを越えれば、次の高値のヒントはさらに過去になりますが、現状はL-Mの間で揉み合う展開です。この範囲だけを見ればL-Mの下落時間に対してM以降の上昇時間は遅く、上昇力が弱い点は常に付きまとう懸念ですが、今はMからの上昇に専念できる地合い(詳細は前月号)ですから、その波動を追いかけたいと思います。
M-N-Oからの波動は既に時間切れとなり、今はM-P-QあるいはO-P-Qが対象ですが、前述通りO-P-Q-T(Tは暫定)の三波動があと2週間で終わる中、それまでに最低でもN計算値の114.83円は達成したいところですが、なかなか厳しい値幅にも見えます。もしRを越えられずにこの三波動が終わった場合、次はM-P-Q-Tに期待するしかない状況は意識しておきましょう。
M以降ここまで幾度かあった高値計算値は未だに一度も達成できておらず、その原因はN-O、P-Q、R-Sそれぞれの押しが深すぎたからですが、ということは、この値動きはレンジ相場に近い状況であり、見た目より難しい相場だと言えるでしょう。それでも、上昇相場を想定している根拠として、均衡表が好転して以降は状態が安定しており、今回の安値Sもギリギリ基準線でサポートを受け、直後の直近週で転換線を回復した動きは悪くありません。転換線は今後も幾度か割り込むでしょうが、まずは今回できた新しいR-Sをどちらに抜けていくかに注目し、Rを抜ければL越えというドミノ現象もあり得ると見ています。
最後に1点だけ、基準線で踏み止まった今回の安値Sは、実は月足の先行スパン上限とも一致する水準ですから、今後も重要な下値目途になるでしょう。この件に関しては日足でも触れます。
よろしいですか?