トランプ大統領の安全保障条約「不平等」発言の意図とは?[杉村富生氏メルマガより]
GogoJungleが提供している杉村富生さんの投資メルマガ「杉村富生投資サロン」より、今日配信されたものからほんの一部をご紹介。
トランプ大統領の基本姿勢はマッドマン・セオリー(狂人戦略)、かつパフォーマンス外交です。筆者は就任時、「ワイドショー」と指摘しました。ここでのG20での米中首脳会談、突然の米朝首脳会談は2020年の大統領選挙に向けてのアピールにすぎません。
実際、“実利”は何もなかったではありませんか。しかし。彼にとってはそんなことはどうでも良いのです。話題になれば「十分」と考えているのでしょう。それに、世界の株価は好感しました。これら一連のパフォーマンスは再選戦略の一環です。
アメリカの通信社(ブルームバーグ)、FOXテレビがトランプ大統領の発言として、「日米安全保障条約は不平等だ。破棄もあり得る」と報じたのはどんな意味があるのでしょうか。
まあ、これは彼特有の思いつきというか、国民向けのコメント(選挙を意識)でしょう。「日本が攻撃されたらアメリカはいかなる犠牲を払っても日本を守る。だが、アメリカが攻撃されたとき、日本は何もしない。ソニーのテレビでそれを見ている」。これが彼の持論なのは確かですし、日本は憲法上、他国の戦争に介入できないという事実は承知していると思います。
となると、G20前の今回の発言は日米物品貿易協定交渉に対するけん制球?ないしは憲法改正を目指す安倍晋三首相をあと押し(「自分の国は自分で守れよ」と改憲をアシスト?)といった配慮があるのではないでしょうか。
アメリカ海軍の横須賀基地は第7艦隊が駐留、太平洋~インド洋と地球の半分を活動範囲にしています。空軍の嘉手納基地は羽田空港の2倍の面積を有し、極東最大の空軍基地です。日米安全保障条約の破棄はアジアの軍事拠点のほとんどを失うことを意味しています。これはすなわち、アメリカの覇権の消失につながるのです。
『杉村富生投資サロン』(杉村富生)より引用。
トランプ大統領の発言には来年の大統領再選、日本の憲法改正を目指す安倍首相への配慮などの意図があるようです。ですが実際に条約破棄までを考えていないことからもパフォーマンス色の強い発言と捉えておきましょう。(編集部)
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