元為替ブローカーから学ぶ売買プランの作り方|第20回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析⑬[浅野敏郎]
浅野敏郎さんが、自身の経験と知識に裏打ちされた売買手法や相場観構築のノウハウを余すところなく教えてくれる本企画。今回も引き続き、直近と今後のドル円相場を読み解いてもらい、その上で最適な売買プランを提示していただきます。
※この記事は、FX攻略.com2018年12月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
浅野敏郎さんプロフィール
あさの・としろう。東短グループの外国為替売買仲介業者である、トウキョウ フォレックス株式会社、さらには、為替取引の世界シェア80%以上を誇るEBS社(現ICAP)等での勤務経験を持ち、1985年のプラザ合意、その後の超円高時代、バブル崩壊、2000年のユーロ統合などの歴史的相場を第一線で経験し、相場観を養う。その後、2社のFX取引会社の創業、プライベートFXファンドのディーラーも経験。現在、投資の学校グループの日刊ブログで執筆を担当。特技の映像編集を活かした分りやすい映像作品の支持者も多い。
週足分析では明確に上昇を示唆
チャート① 出所:TradingViewによるUSDJPYチャート
週足分析を始める前に、今月のチャート変更点を先にお伝えします(チャート①)。まず、M-N-O-Pの三波動の時間が経過し、P以降の押し目を中心とした三波動を追いかける段階になったので下値Qを追加し、M-P-Q-R、あるいはO-P-Q-R(以下、共にRは暫定)の三波動を想定して参ります。
NとOはその役目を一旦は果たし、P-Qへと場所を移すべきですが、前述通りOを起点とする三波動を見る必要があるため、もう少し残します。その他、I-JmidやL-Mmid、あるいは下方にあったトレンドラインなどは一旦、削除しましたが、現在の相場は安値Mを起点とした上昇相場と見なせるので、例えば先行スパンを下回るようなステージがない限り、それ以下のサポートを見る意味はありませんね。
さて、先月号以降は同時線を作った1週を除けば、Qの安値から連続して高値安値を切り上げる展開となり、上値水準として重くかつ重要としたH-Imidの112.43円を越え、直近週は同水準をサポートに直近高値Pや年初来高値を越えてヒゲがない陽線で終わっています。Pを越えた以上は、転換線と基準線は共に能動的に上昇できる上に、基準線は対象とする安値がOに移るまでは毎週切り上がることから、方向性は明確に上昇を示唆しています。
さらに、P-Qの下落に6週を要した半面で、Qからの上昇は同じ6週でPを越えた状況であり、目先は上昇が優勢であることは明確です。M-N-O-Pの時間が経過した現在、目先はO-P-Q-RとM-P-Q-Rの三波動を追いかけていくわけですが、どちらもまだ時間は充分残っており期待は膨らみます。
唯一の懸念だったJ以降の下落が、まだ一度も否定されていない点は幾度か触れましたが、実はJ-K-L-Mを想定する三波動の最大時間となる、J-K-LとL以降の時間が今週で同じになりますから、今後は下落を想定することなく、揉み合いか上昇に絞って相場を見れば良い格好です。ただし、このタイミングは一つの大きな節目ですから、一旦は重くなる可能性も指摘しておきます。
さて揉み合いの観点では、目先はL-M間での推移になりますが、ここだけを見れば上昇の速度は下落より遅いのは確かです。ただ、大きな上昇波動として想定できるI-J-M-Rでみれば、Mから最大I-M分の時間があり、急騰の必要性もない気がします。
よろしいですか?