2018年の夏も終わりいよいよ秋の陣が始まる[太田二郎]
太田二郎さんプロフィール
おおた・じろう。FXストラテジスト。1979年にザ・ファースト・ナショナル・バンク・オブ・ボストン東京支店にてFX取引を始める。後にマニュファクチャラーズ・ハノーバー・トラスト銀行、BHF銀行、ナショナル・ウエストミンスター銀行、ING銀行で法人向けの為替取引に従事、その後、リテールFXに従事し、米国のGFT東京支店で営業、後にマーケット・ストラテジストを経験、現在は個人投資家として活躍。
※この記事は、FX攻略.com2018年11月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
今後のドル相場はトランプ大統領の手の平で踊る
最近、特にトランプ大統領からはドルに関しての発言が目立つようになりました。8月16日にトランプ大統領は「大切なドルにマネーが流れ込んでいる」、クドロー国家経済会議(NEC)委員長は「ドルは強く安定している」と「ドル高傾向を称賛」していましたが、8月20日からは逆に「ドル安を擁護」するような発言が目立っており、為替相場もトランプ大統領の発言を受け変動しています(2018年8月23日現在)。
米国では金融政策の面で米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性を維持するために、大統領による影響力の行使が制限されています。しかしながら、為替政策は米財務省の管轄でFRBには決定権限がありません。米国の為替安定化基金は大統領の承認のもとに米財務長官が管理・運営しており、FRBは財務省の代理人としての機能しか持ち合わせていませんが、この点は日本の財務省と日銀の関係に似ています。
通貨政策の変化は金融市場全体への影響もあり、大統領が直接手を下せるかは疑問ですが、極論を言えばトランプ大統領がドル安を望むならばムニューシン米財務長官に命じれば用が足りるということになります。最近では、「ドルは強すぎる」といったドル安誘導ではないかと思えるような発言が目立っています。米貿易赤字を解消するにはドル安政策が有効な手段であることは周知の事実ですが、果たしてトランプ大統領の真意はどちらなのでしょうか?
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