元為替ブローカーから学ぶ売買プランの作り方|第29回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析(22)[浅野敏郎]
浅野敏郎さんが、自身の経験と知識に裏打ちされた売買手法や相場観構築のノウハウを余すところなく教えてくれる本企画。今回も引き続き、直近と今後のドル円相場を読み解いてもらい、その上で最適な売買プランを提示していただきます。
※この記事は、FX攻略.com2019年9月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
浅野敏郎さんプロフィール
あさの・としろう。東短グループの外国為替売買仲介業者である、トウキョウ フォレックス株式会社、さらには、為替取引の世界シェア80%以上を誇るEBS社(現ICAP)等での勤務経験を持ち、1985年のプラザ合意、その後の超円高時代、バブル崩壊、2000年のユーロ統合などの歴史的相場を第一線で経験し、相場観を養う。その後、2社のFX取引会社の創業、プライベートFXファンドのディーラーも経験。現在、投資の学校グループの日刊ブログで執筆を担当。特技の映像編集を活かした分りやすい映像作品の支持者も多い。
週足は対象下値からOが外れて三役逆転
チャートによって一目均衡表の解釈を履き違えたものがあり、6月足の上ヒゲが先行スパンの中に入り込み、月初寄り付きの108.28円前後が先行スパンの下限なるものも見かけますが、正しい下限はチャートの109.15円付近(緑の水平破線)にあり、現状は完全に下抜けていることを改めて確認しておきます。
さて、今月のチャートの修正点ですが、近くにあった重要な水準が全てレジスタンスに成り代わったため色を青に変更。週足先行スパンの上にあった、かつての主なレジスタンスは遠くなり過ぎたので線を細くし、P以降の最安値を暫定的にQとしました。
チャート① 出所:TradingViewによるUSDJPYチャート
では、このまま週足(チャート①)を分析して参ります。今週の7月第1週足から6本前で、めぼしい波動の半値水準を全て割り込み、直近2週間では、安値Oを除くと2番底だったKも一時割り込む下落となりました。
前週まで、均衡表基準線はOが一因となって対象下値の切り上がりがないまま受動的に下げたことから、最後の好転一役として維持していましたが、今週で遂に週足対象下値からOが外れたことで一気に受動上昇して逆転し、三役逆転となっています。
基準線の対象高値は暫くPで動かない中で、転換線の対象上値は既に切り下がり始めている一方、転換線と基準線の対象下値はQで一致していることから、安値を更新すれば両線が同時に下落できる地合いです。下値側のリスクが高い状況に変わりはないようです。
ただし、安値Oが基準線の対象から外れたことで現在の基準線はNとOの影響を既に受けていません。それにもかかわらず、受動的に上げた水準がN-Omidとおおむね一致しているということは、P-Qmidとも一致することになります。依然としてN-Oを最大幅としてN-Omidを中心とした揉み合いの中にいることを認識し、Qを下抜くまでは下落目線にこだわり過ぎない方が良さそうです。
また気が付けば、遅行スパンを除く転換線以外の3線は、109.52~109.59円の水準に集まっており、相場が今後この水準に接近した場合は、その後の展開が重要になります。
よろしいですか?