米国の利下げはすでに織り込み済。今後はECBが利下げに踏み切るのか注目!
GogoJungleが提供している江守哲さんの投資メルマガ「江守哲のリアルトレーディング・ストラテジー」より、今朝配信されたものからほんの一部をご紹介。
〔CURRENCY MARKET〕
ドル円は小動き。日米欧の金融政策会合を控えて様子見ムードが広がる中、108円台前半で小動きとなった。7月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景況指数)速報値は前月から低下し、市場予想も下回った。これを受けて、安全資産とされる円を買ってドルを売る動きが優勢となった。6月の米新築一戸建て住宅販売件数が前月比で3カ月ぶりに増加したことなどを受けて、ドルが若干買い戻された。
一方、ロシアの米大統領選干渉疑惑を捜査したモラー元特別検察官が下院司法委員会の公聴会で証言し、トランプ大統領の完全な潔白は証明されていないとの認識を改めて示したが、為替市場ではほとんど材料視されなかった。25日にECB定例理事会を控えているほか、来週には日銀の金融政策決定会合とFOMCも予定されていることから、投資家の様子見姿勢が強く、狭いレンジ内の取引に終始した。
ユーロドルは1.11ドル台前半での推移。弱いユーロ圏指標を受けて、2カ月ぶりの安値を付けた。ポンドドルは1.24ドル台後半で推移。先週に付けた2年3カ月ぶり安値となる1.2382ドルを上回って推移した。また、対ユーロでは上昇した。
英与党・保守党のボリス・ジョンソン党首がこの日、新首相に就任した。EU離脱協定について、「EUから新たな合意、より良い合意」を取り付けるとした上で、「10月31日にEUを離脱するという約束を果たす」と言明した。これを受けて、ポンドは上げ幅を拡大した。
ムニューシン米財務長官は、「短期的なドル安を支持するつもりはなく、長期的には強く安定的なドルが国益にかなう」との認識を示した。また、「世界の準備通貨としてのドルが米国に恩恵をもたらしている」とした。一方、国際通貨基金(IMF)は先週、ドルが短期のファンダメンタルズに基づき6─12%過大評価されているとの見解を示している。トランプ大統領は22日に、「他の国々が為替操縦を行っているのは非常に不公平」とした上で、「FRBの政策がドル高を招いている」と批判している。
【通貨トレード戦略】
ドル円は見送りとします。FOMCまでは方向感がない状況が続きそうです。FRB関係者が発言できないブラックアウト期間に入っており、FOMCまでは動きづらい状況が続くといえます。日米欧の金融政策待ちでしょう。まずは25日のECB理事会がありますが、将来の利下げを示唆するようだと、ユーロが一段の下落となる可能性があります。ポンドがジョンソン氏の首相就任でショートの買い戻しが入っていますので、ユーロが売られやすくなっています。これがドル円に与える影響はいまのところ軽微ですが、ユーロ安が続くと、ユーロ円の 売りがドル円にも波及する可能性がありますので、注意深く見ていく必要があるでしょう。
FOMCですが、0.25%ポイントの利下げはすでに100%織り込まれています。0.50%の利下げは22.5%しか織り込まれていませんので、今回は0.25%ポイントで決まりでしょう。むしろ、ECBの金利スタンスの方に注目したいと考えます。利下げ姿勢をより鮮明にすれば、ユーロ安が加速する可能性があります。一方、BOEも利下げを示唆しており、相対的な力がどちらに働くかに注目することになりそうです。これまでポンドのショートがたまりすぎていたこともあり、ポンドの反発の可能性もあるでしょう。ポンド円の買い戻しが進む可能性もあるでしょう。まずは値動きを確認したいところです。
ドル円については、108.50円が上値になりそうです。これを超えるとトレンドは上向くことになりますが、この水準まで戻したときには買われすぎになり、むしろ売り圧力が強まりそうです。そろそろ売りどきでしょう。タイミングを計りたいと思います。一方、107.50円を割り込めば、売りやすくなりそうです。FOMCの結果が107.50円割れのトリガーになるのかどうか注目しています。
繰り返すように、8月は日本株安・円高リスクが高くなることが過去データで明確に出ています。つまり、安全資産である円が買われやすくなります。これまでのきわめて低いボラティリティの状況は、8月に入ると急激に高まりそうです。8月が今年の第2の鬼門になるとみています。リスク資産の売却の動きに注意しておきたいところです。円高基調が鮮明になった場合には、年末まで最大で96円までの下げの可能性があるとみています。 投資戦略対象の通貨ペアを変更します。新興国通貨は変動が激しいので外します。 主要通貨のペアを主体的に行うようにいたします。 対象は円、ユーロ、ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドルとします。 いまはカナダドルやNZドルが最強通貨になっています。
ドル円:なし
ユーロドル:ショート
ポンドドル:ショート
豪ドル/米ドル:ロング
NZドル/米ドル:ロング
米ドル/カナダドル:ショートを解消ユーロ円:ショート
ポンド円:ショート
豪ドル円:ロング
NZドル円:なし
カナダドル円:なしユーロポンド:なし
ユーロ豪ドル:ショート
ポンド豪ドル:なしユーロNZドル:ショート
ポンドNZドル:ショートユーロカナダドル:ショート
ポンドカナダドル:なし
豪ドルカナダドル:ロング
NZドルカナダドル:ロング
『江守哲のリアルトレーディング・ストラテジー』(江守哲)より引用。
米国ではすでに利下げが織り込まれており、後はどのくらい利下げするのかが焦点となっているようです。欧州ではPMIの低下による景気悪化傾向と英国の新首相のボリス・ジョンソン氏の動向に注目が集まりそうです。まずは来週に開催されるFOMCの動きを注視しましょう。(編集部)
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