野中ななみと一人前のトレーダーを目指す!ななみんと学ぶFX 第5回
FX女優である野中ななみさんがトレード成績向上を目指してFXのスペシャリスト山中康司さんからFXで利益を出すために必要な全てを皆さんと共に学んでいきます。今回もファンダメンタルズ分析の基礎について教えていただきます。
※この記事は、FX攻略.com2019年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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【もくじ】陽和ななみと一人前のトレーダーを目指す!ななみんと学ぶFX
山中康司さんプロフィール
やまなか・やすじ。1982年アメリカ銀行入行、1989年バイスプレジデント、1993年プロプライエタリー・マネージャー。1997年日興証券入社、1999年日興シティ信託銀行為替資金部次長。2002年アセンダント社設立・取締役。
公式ブログ:アセンダント/山中康司が提供する為替情報配信サイト
ツイッター:https://twitter.com/yasujiy
野中ななみさんプロフィール
のなか・ななみ。1997年3月17日生まれ。福岡県出身。映画や舞台、CMに出演する傍らラジオNIKKEIではレギュラー番組を持つなどFX女優として活躍中。ブログでは毎日のトレードの様子を更新中です。
公式ブログ:FX女優参上!新進女優ななみんの真剣リアルトレード日記
ツイッター:https://twitter.com/himnas03
債券と株式の関係
野中 この連載では山中先生にFXのいろはを教わっています。今回のテーマは「株式市場や商品市場などの周辺市場」です。山中先生よろしくお願いします。
山中 まずは株式市場についてです(画像①)。株式市場といえば、証券取引所でいろいろな株が売買されているので非常になじみがあります。そして、株価の中でも流動性が高く時価総額が大きい日経平均やNYダウ、ドイツのDAXといった各国の代表的な株価指数が重要になります。株式や債券投資ではよくポートフォリオ、分散投資という言葉を聞きます。
野中 資産を株だけに投資していると、株価が暴落したときに大きな損失を被ってしまうので、いろいろな金融商品に分けて投資することで自分の資産を守ることですね。
山中 そうです。「卵は一つのカゴに盛るな」という格言があります。要するに、投資先を一つに集中させないことです。
例えば、国内の商品と海外の商品に半分ずつ投資し、さらに国内の商品は株式に半分、国債に半分、海外商品も同様な投資をする、これが古典的な分散投資になります。この古典的な分散投資で資産を移し替える観点からみた場合、株価が上がりそうなときには債券を減らして株を増やそうと考えます。逆に株価が下がりそうなときには株を減らして債券を増やそうと世界中の投資家が考えます。よって株が売られるときには債券が買われ、株が買われるときには債券が売られるといった相関関係をみることができます。
もう一つ、最近よくいわれるのが「金利が上昇すると株が売られる」という話です。株式では年に1~2回入ってくるものがありますが、何か分かりますか?
野中 配当ですね。
山中 そうです。株式には配当利回りという計算がされていて、株価が変わらなければ1年間に金利相当の配当が入ると考えます。日米共に株式の配当利回りは大体1%後半から2%くらいになります。日本の株式と国債を比較した場合、国債は利回りがほぼゼロですが、株式には約2%の金利相当分が入ってくることになります。
したがって、株価そのものの値動きとは関係なく、国債の金利が下がれば株を買って配当利回りを得ようとする動きが出て、逆に国債の金利が上がるときには株が売られやすい傾向にあります。これはどちらに投資した方が最終的に得なのかという投資家心理が影響しています。
次に金利の観点からみると、国債の金利が下がると債券価格は上がります。
野中 金利の下がった債権との価格調整がされる関係だからですね。
山中 国債は日銀が大量に買い受けています。日銀が国債を買うと債券価格は上昇しますが、その裏側にある金利は下がります。ですから、日銀が債券を大量に買うことによって金利を上がりにくくするという面があります。反対に金利が上がる状況では、債券価格が下がります。すると金利の上昇局面では債券価格が下がり、上昇した金利と比較され株も売られるということになります。先ほどは株が売られるときには債券が買われると説明しましたが、金利の観点からみれば株が売られると債券も下がってしまう状況になります。この状況に近い「トリプル安」という言葉を聞いたことはありますか?
野中 その国の株式・債券・為替といった主要市場が同時に安くなることですね。
山中 例えば、米国の場合だと米国債が売られ、米国株も売られてドルすらも売られるということです。日本のトリプル安であれば、日本の株価が下がり、日本国債が売られ、円安になる状況をいいます。
これは最も恐るべき状態で、要するに国力が低下し、市場への不安が高まっているので売られている状況ということになります。平時のマーケットでは単純な資産の移し替えです。しかし、マーケットが異常な状況になってきて、その国に対するリスクオフの動きが大きく広がっていくと、株も国債も売られていきます。さらに通貨も売られると、トリプル安の状況になってしまいます。
そのような意味で株式市場は金利市場、特に長期金利や債券と相当密接なつながりがあると考えることができます。なので株価変動と金利の関係性をみることでリスクオンやリスクオフの動向がうかがえます。
よろしいですか?