リセッション懸念が広まるも、リーマンショック時とは状況が異なる[YEN蔵氏メルマガより]
GogoJungleが提供しているYEN蔵さんの投資メルマガ「リアル・トップ・トレーディング」より、18日に配信されたものから一部をご紹介。
【相場観】
お盆休みの市場はリスク回避の動きが加速した週となりました。株価を押し下げ、円高を加速させた一番大きな材料は米国の長短金利の逆転現象でした。米2年債利回りと10年債利回りが逆転したことで、景気後退リスクをマーケットが感じ取り株価が下落したことが引き金となりました。 米国の3ヶ月物債券の利回りは現在1.86%付近、この短期債券は米国の政策金利のFFレートにほぼ連動します。また2年債は金曜日の終値は1.487%付近で、こちらもFRBの金融政策の影響を受けやすい年限です。そして10年債利回りは金曜日に1.5623%で終了しました。
3ヶ月物と10年債の利回り逆転のときも話題になりましたが、今回はより注目される2年と10年債利回りが13日に一時逆転したことで、先行きの米国経済のリセッション(景気後退)懸念が広がったことで株価下落、円高のリスク回避の流れが加速しました。過去のリセッション入りしたときは2年債と10年債の利回り逆転から6~18ヶ月の間にリセッションが起こったという経験則があります。 過去のパターンとしては景気が堅調で株価上昇、インフレ上昇でFRBが利上げをしていくと長短金利が逆転して、いずれ株価下落、景気後退のパターンとなりました。 前回はリーマンショックで、長短金利が逆転したのは5%以上のときでした。現状では引き金になるのは米中問題でしょうか?そして現状の逆転現象は1.5%付近で起こっています。 リーマンショックの時とはだいぶ状況が違ってますし、逆転現象が起こってリセッションに陥る期間もだいぶ時間があります。
長短金利の逆転に対する反応は行きすぎだったと思いますが、米USTRが対中関税の発動を9月1日から12月15日延期したことによる反発が弱いことも気になります。これまでであればトランプ大統領が米中問題を改善させた場合は力強く反発しましたが、今回は債券利回りの上昇、株価の上昇、円安の動きが従来の反発局面よりは弱い動きになっています。
先週は新興国市場も下落しました。アルゼンチンの大統領予備選挙で市場優先の政策を行っていたマクリ大統領が2位になったことで再選が危ぶまれ、アルゼンチンの株価と通貨は暴落しました。またランド、トルコリラ、ロシアンルーブル、メキシコペソ、ブラジルレアルなどが下落。人民元と韓国ウォンは反発しましたが新興国の下落はやはりマーケットが反発しきれない状況を表していると思います。 今の米国の経済データーを見る限り、10年債利回りの1.5%が示唆するように2回の利下げは行き過ぎのように思えますが、先進国で唯一高金利?な米国債に資金が向かっている可能性もあります。 債券利回りの低下は少し行き過ぎのように思われますが、債券利回りが低下しているうちはマーケットは不安定な状況が続きそうです。
今週は21日にFOMC議事録発表と、23~24日のジャクソンホールでのシンポジウムにおけるパウエルFRB議長などの発言が注目されます。 株価、ドル円、クロス円が下値固めをして反発できるのか試される週になると思われます。
YEN蔵のリアルタイムメルマガ『リアル・トップ・トレーディング』(田代岳)より引用。
今週はFOMC、パウエルFRB議長の発言と重要なイベントがあります。特にリセッション入りへの不安感が広まっている中で、パウエルFRB議長は現状をどのように受け止めているのか注目です。(編集部)
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