相場で生き残るためのテクニカル特化型戦略|第6回 重要ポイントをおさらい[田向宏行]
この連載では専業トレーダーの田向宏行さんに、テクニカル分析に特化したトレードテクニックを数回にわたってレクチャーしてもらいます。最終回となる今回は、過去5回の連載のまとめです。為替相場における値動きの本質を改めて理解し、ご自身のトレード戦略を見直してみると良いでしょう。
※この記事は、FX攻略.com2018年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
田向宏行さんプロフィール
たむかい・ひろゆき。大学卒業後、資格試験に挑戦するが挫折。就職できず仕方なく起業。事業経営の間に投資を開始。事業譲渡後の現在は個人投資家。FX会社のセミナー企画・構成も手がけている。著書に『臆病な人でも勝てるFX入門』(池田書店)、『1日2回のチャートチェックで手堅く勝てる兼業FX』(自由国民社)。
個人投資家にはテクニカルがお勧め
これまでの5回にわたるテクニカル特化型戦略の連載では、ファンダメンタルズ分析よりテクニカル分析を使った方が個人投資家は利益を得やすい、では何をどう使うか、ということをご案内してきました。テクニカルの知識はFXだけでなく他の相場でも使えますし、一生モノの技術だと思っています。そんな私もFXを始めたころは「とにかく儲けたい」ので、儲かるツールを探していたと思います。
結論からいうと、そんな便利なものはありません。もしあれば、ゴールドマンサックスが10億円でも買ってくれます。FXなどの相場取引で、「これをやったら必ず儲かる」「これを知っていればうまく取引できる」という魔法は存在しないのです。あなたがもし「絶対儲かります」と誘いを受けたら、「詐欺だ」と疑った方が良いでしょう。また、金融のプロである銀行などの金融機関が投資信託の販売に熱心なのも、不安定な相場で稼ぐトレーディング部門の収入より、窓口部門で確実に稼げる手数料収入を重視しているからに他なりません。
そんな絶対儲かるモノがない相場で利益を出して生き残るには、相場の基本を知ることが最低限必要です。その一つが資金管理で、特にファンダメンタルズ分析を使う人には不可欠です。ファンダでの取引は大きな潮流に賭けるので、流れを間違えたら巨大な逆流、急激な損失になります。金利や政策などは半年とか数年単位の動き(5月号連載第1回参照)ですから、長い時間の中では一時的に逆行する場面も多々あります。この逆行場面で相場に入れば、損をします。ファンダは、①経済の潮流と個人投資家のトレードする時間軸が一致しない②経済の教科書的考えと相場の動きが一致するとは限らない③取引タイミングが示されない—の3点がトレードには致命的だと思っています(6月号連載第2回参照)。
テクニカル分析でも資金管理は重要ですが、ファンダとは違い、チャートが教えてくれるものはたくさんあります。その代表例が「取引タイミング」と「損切り位置」で、こうした情報をチャートから得られると、時には逆行場面でも取引が可能になってきます。また損切り位置が分かっていれば、あらかじめ逆指値を置いておくことで、自分に不利な相場から逃げることができます。
加えて、テクニカルを熟知した上でファンダ要因を考慮すると、相場の先読みがしやすくなります。チャートがこういう形で、数日後にこうしたイベントがあるから、こう動きそうだ、と値動きと時間とイベントを絡めた先読みの戦略を立てることができるようになるからです。
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