元為替ブローカーから学ぶ売買プランの作り方|第18回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析⑪[浅野敏郎]
浅野敏郎さんが、自身の経験と知識に裏打ちされた売買手法や相場観構築のノウハウを余すところなく教えてくれる本企画。今回も引き続き、直近と今後のドル円相場を読み解いてもらい、その上で最適な売買プランを提示していただきます。
※この記事は、FX攻略.com2018年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
浅野敏郎さんプロフィール
あさの・としろう。東短グループの外国為替売買仲介業者である、トウキョウ フォレックス株式会社、さらには、為替取引の世界シェア80%以上を誇るEBS社(現ICAP)等での勤務経験を持ち、1985年のプラザ合意、その後の超円高時代、バブル崩壊、2000年のユーロ統合などの歴史的相場を第一線で経験し、相場観を養う。その後、2社のFX取引会社の創業、プライベートFXファンドのディーラーも経験。現在、投資の学校グループの日刊ブログで執筆を担当。特技の映像編集を活かした分りやすい映像作品の支持者も多い。
上昇目線を残しつつ揉み合いの意識を
いつものように前月号からここまでの相場展開から触れましょう。
安値Mから強い上昇を見せたドル円相場は途中、やや深めの押し目N-Oを作りその高値安値の間で揉み合いを継続していたのが前号までです。その後、高値Nから8週目に揉み合いを上に放れて急伸、9週目に113.17円前後の高値を付けて以降は上値も重く、上に放れた水準まで下押しして終わったのが現状です。
今月号の修正点は、高値Nを上抜けて新たに作った高値をPとしました。暫定的な高値安値のNとOはいずれ消すことも視野に入りますが、今暫くはM以降の上昇波動の中心として意義を持つため現時点ではまだ残すことにしました(チャート①)。
チャート① 出所:TradingViewによるUSDJPYチャート
週足の現状分析として、高値Pに至るまでの変動は概ね予測通りでした。H-Imidの112.43円水準の状況は到達してみて初めて分かるのですが、それ以上の水準を実体線で維持できなかった事実は想像以上に重い印象でした。それだけ、H-Iの大幅下落は未だに影響しているのでしょう。ただ、前月号で述べたように、H-Iを第一波動とする下落の目は既に考えにくいことから、上昇目線を残しつつも前月号よりは揉み合いの意識も持っておきたいところです。
その根拠は遅行スパンと現行足に対して、先行スパンが共にサポートとして機能できなかったことです。また基準線についても、最後に大きく受動下落する週に、保ち合いを放れて大幅上昇したたことで僅かな下落に留まることができた反面で、高値Pを更新しない限り、あと9週間は受動的にも上昇できない点も重要な根拠です。一方、上昇目線を残した根拠として、直近足と遅行スパンに対して転換線が押し目として機能できた点や、転換線は今後も受動的に上昇できる点が挙げられます。
安値Oから9週目で目先の高値を付ける可能性は想定の範囲でしたが、111.65円のJ-Mmid水準や111.43円の高値Nを割り込む押し目を付け、Nよりも低い水準で今週を陰線で終わったのは非常に残念な展開ではあります。
今後の注目点は何と言っても、次週の転換線と値動きでしょう。というのも、次週の転換線は下値対象から安値Oが外れ、111.15円付近まで受動的に上昇します。ということは直近足の終値が110.97円前後ですから、このままでいくと次週は転換線がレジスタンスの位置に入れ替わることになります。したがって、上昇を維持するには、再度転換線を越え、その後も水準を保てるかどうかに懸かっています。もしも無事に回復できれば、重要なレジスタンスであるH-Jトレンドラインを抜き直すことにもなり、高値Pがダマシになっている現状から、逆に直近足の動きの方がダマシとして捉えられる格好になり得ます。
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