英国のEU離脱が半年後に迫る![太田二郎]
太田二郎さんプロフィール
おおた・じろう。FXストラテジスト。1979年にザ・ファースト・ナショナル・バンク・オブ・ボストン東京支店にてFX取引を始める。後にマニュファクチャラーズ・ハノーバー・トラスト銀行、BHF銀行、ナショナル・ウエストミンスター銀行、ING銀行で法人向けの為替取引に従事、その後、リテールFXに従事し、米国のGFT東京支店で営業、後にマーケット・ストラテジストを経験、現在は個人投資家として活躍。
※この記事は、FX攻略.com2018年9月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
ポンド相場の行方を左右するブレグジット
振り返ること2016年6月23日、英国民は欧州連合(EU)からの離脱を選択し、その結果を受け金融市場は大きく揺れました。そして「リスボン条約50条」に基づき、英国では2019年3月29日午後11時のEU離脱に向けたカウントダウンが続いています。
国民投票は予想外となる「52%対48%」の僅差で、事前の予想を覆し英国民はEUからの離脱を決定。英国「Britain」と離脱「Exit」を組み合わせた造語として「Brexit=ブレグジット」という言葉も生まれました。英国のブレグジット交渉は終盤を迎えており、今後のポンド相場がどのように変化する可能性があるのかを考えてみたいと思います。
結論からいえば、この期に及んでも先行きは非常に不透明といわざるを得ず、三つの異なるシナリオを考える必要があります。詳細は後述しますが、シナリオ①は比較的円滑な「秩序あるブレグジット」でポンドは緩やかに上昇、シナリオ②は合意なしの無秩序な「ハードブレグジット」でポンドは下落、シナリオ③は国民投票のやり直しでポンドは大幅上昇、と考えています。
過去のポンド相場を振り返ると、2016年6月23日の国民投票の結果が判明した翌24日に為替市場が大混乱となったことは忘れることができません。ポンドドルの一日の値幅は高値1.5018→安値1.3226(1792ポイント=11.93%)、前日比終値1.4840→1.3660(1180ポイント=7.95%)の下落、ポンド円は高値160.11→安値133.22(26.89円=16.79%)、前日比終値でも157.66→139.60(18.06円=11.45%)の下落。他の主要通貨も同様で、株式や債券市場にも激震が走りました。また、同年10月7日のポンドドルが急落した「フラッシュクラッシュ」にも影響を与えていると考えています。
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