これからの外国為替場の行方 第101回[田嶋智太郎]
田嶋智太郎(たじま・ともたろう)さんプロフィール
経済アナリスト。アルフィナンツ代表取締役。1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、ひいては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」、ダイワ・証券情報TV「エコノミ☆マルシェ」などのレギュラーコメンテータを務める。主なDVDは「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX入門」「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX実践テクニカル分析編」。主な著書は『財産見直しマニュアル』(ぱる出版)、『FXチャート「儲け」の方程式』(アルケミックス)、『なぜFXで資産リッチになれるのか?』(テクスト)など多数。最新刊は『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)。
※この記事は、FX攻略.com2018年9月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
やはりユーロドルはテクニカルに忠実だった!
前回更新分の本欄で、当面のユーロドルの下値の目安について「昨年11月安値の1.1554ドル」あるいは「昨年1月安値から直近(今年2月)高値までの上昇に対する50%押し=1.1448ドルあたり」などと述べた。
つまり、4月半ばあたりから始まった急激なユーロドルの下落は前回の執筆時(5月下旬)にも続いていたが、やはり「1.1500ドルの節目近辺では一旦下げ止まって反発してもおかしくない」との読みであった。そして案の定、ユーロドルは5月29日に一時1.1509ドルまで下押したものの、そこで下げ止まって反発し、6月半ばには一時1.1850ドルの水準まで大きく値を戻した。
かねて本欄で幾度も述べているように、ユーロドルというのは市場で最も膨大な取引量を誇る通貨ペアであるだけに「その値動きはテクニカル(分析の技法に基づく想定)に極めて忠実」と言える。
少し振り返れば、今年2月16日につけた高値=1.2555ドルというのは「2008年7月高値と2014年5月高値などを結ぶ長期レンジスタンスライン」が位置していた水準で、一つには同ラインに上値を押さえられるような格好となった点が重要視される。また、同高値は「2008年7月高値から2017年1月安値までの下げに対する38.2%戻し」に近い水準でもあり、そうした幾つかの節目が集中するところまで上値を取りに行って反落に転じたことになる。
なお、チャート①でも確認できるように、この2月高値というのは一目均衡表の月足「雲」上限を少し超えたところに位置しており、俯瞰してみれば、やはり月足「雲」上限の水準が当面の上値抵抗として意識されやすい状態にあったものと考えることができる。思えば、2014年5月にユーロドルが一旦1.3993ドルまで値を上げた場面でも、結局は月足「雲」上限の水準が上値を押さえて後に反落する展開となった。
さらに、今年2月高値というのは2016年5月高値から2017年1月安値までの下げ幅を大よそ2倍して2017年1月安値から上方にとった値であるということもわかる。言わば、これは俗に「全値戻しは2倍返し」と称される値動きということになるわけだが、まったく同様のケースは、ユーロドルが2014年5月高値から2015年3月安値まで大きく値を下げた場面における対ユーロでのドルの値動きにも見て取ることができる(これも、やはり「全値戻しは2倍返し」であった)。
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