米個人消費牽引役のミレニアル世代 利上げに最も脆弱?[安田佐和子]
安田佐和子さんプロフィール
やすだ・さわこ。三井物産戦略研究所北米担当研究員。世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移す。金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事する傍ら、ストリート・ウォッチャーの視点からニューヨークの不動産動向、商業活動、都市開発、カルチャーなど現地ならではの情報も配信中。2011年からは総合情報サイト「My Big Apple NY」を立ち上げ、ニューヨークからみたアメリカの現状をリポートしている。
総合情報サイト:My Big Apple NY
※この記事は、FX攻略.com2018年8月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
米国で最も人口の多い世代はミレニアル
米国では概して、6月に卒業式が執り行われます。大学生の場合は、逆算するとその約1年前から就職活動を開始していなければいけませんが、日本のように企業に新卒枠というものはありません。だからこそ、インターン制度が導入され、学生が潜在能力を発揮し、企業が青田買いする機会が設定されています。
逆にいえば、高い学費を支払って大学あるいは大学院に入学したとしても、将来は保証されていません。ワシントンDCにある政治学の権威として知られる大学院を卒業した筆者の友人は、過去に議員スタッフとして勤務した経歴があったものの、希望していた連邦政府機関や有力シンクタンクに採用されず。複数の言語を操る能力を生かし、第3希望の海外メディアにやっとの思いで就職していたものです。
だからこそ若い世代、特にミレニアル世代(主に1980~2000年生まれ)の債務は今後の米国を占う上で非常に由々しき問題です。ミレニアル世代がベビーブーマー世代を抜き、米国で最も人口の多い世代であれば尚更です。米国の国内総生産(GDP)の7割近くを担う消費の牽引役は、彼らですからね。
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