2018年の初夏 複雑な為替相場の動き[太田二郎]
太田二郎さんプロフィール
おおた・じろう。FXストラテジスト。1979年にザ・ファースト・ナショナル・バンク・オブ・ボストン東京支店にてFX取引を始める。後にマニュファクチャラーズ・ハノーバー・トラスト銀行、BHF銀行、ナショナル・ウエストミンスター銀行、ING銀行で法人向けの為替取引に従事、その後、リテールFXに従事し、米国のGFT東京支店で営業、後にマーケット・ストラテジストを経験、現在は個人投資家として活躍。
※この記事は、FX攻略.com2018年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
中間選挙を控えたトランプ政権
金融機関では為替取引の売買をする人たちを「ディーラー(取引者)」と呼んでいますが、トランプ大統領の発言は全て「デール」だと呼ぶ人も多数見受けられます。意図的なのかは不明ですが、豹変することの多い発言で為替相場が乱高下することも多々あり、トランプ氏が為替取引に専念したらきっと大儲けできたのではと、ふと考えることもあります。
トランプ大統領の誕生から早くも1年半近くが過ぎ、11月6日には米議会の下院全435議席と上院33議席(総議席は100)が改選される中間選挙が控えています。トランプ政権がこの中間選挙を意識した動きになることは避けられない状態です。
トランプ政権が公約とした規制緩和、税制改革、通商政策の見直し、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉、不法移民の入国規制、メキシコ国境の壁建設等の公約実施の有無がトランプ政権の評価に直結すると考えても良いでしょう。米国の「強い成長、堅調な労働市場、賃金の伸びの改善、安定的なインフレ」に米金利の継続的な引き上げ期待は強く、貿易不均衡是正による政治的な対立も懸念され、株価が伸び悩む要因の一つにもなっています。
よろしいですか?