外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|2018年後半の為替相場の展望と想定される値動き】
2018年も後半戦に突入します。昨年以降、ドル円を中心に為替相場は膠着状態に陥っていましたが、2016年秋のトランプ相場から2年近くが経過し、円高か円安、いずれかの方向に強いトレンドが生まれてもおかしくありません。後半戦のFXトレードに備え、今月号ではドル円、ユーロ円、豪ドル円の相場展望と2018年後半の目標高値・安値を見ていきましょう。
※この記事は、FX攻略.com2018年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
佐藤正和さんプロフィール
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演する他、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
トランプ大統領の予測不能さが為替相場の膠着状態の元凶に!?
2018年も後半戦に突入しようとしています。そこで今回は、主要3大通貨であるドル円、ユーロ円、豪ドル円の2018年後半の相場展望と、想定される値動きを見ていくことにします。
2018年前半は、2月発表の米国雇用統計で予想以上の賃金上昇が確認され、米国の長期金利が3%台直前まで上昇。インフレ加速、金利上昇懸念から、NYダウが1日に1000ドル以上も暴落するなど、年明け早々、金融市場は大混乱に陥りました。
それに輪をかけているのがトランプ大統領の言動です。鉄鋼、アルミニウムの関税引き上げで始まった保護主義政策の発動、相次ぐ穏健派閣僚の辞任・解任と保守強硬派の登用、北朝鮮との直接対話やシリア爆撃など地政学リスクの高まり、大統領選におけるロシア協力疑惑に対するFBI捜査の進展など、11月に迫った米国議会の中間選挙に向け、人気獲りに走るトランプ大統領の“迷走”が為替市場にも影響を及ぼしています。
2月~3月にかけてはリスクオフの円高トレンドが進みましたが、3月~4月は毎年、円安トレンドになりやすいアノマリー(値動きグセ)もあり、ドル円は勢いよく底打ち反転。クロス円通貨やユーロドルは上昇トレンド回帰が鮮明になったものの、その後は膠着状態が続いています。
トランプ大統領の一言、一つのつぶやき(ツイート)で相場展開が大きく変わるため、投資家は長期のポジションを持ちにくく、早め早めの利益確定に動いていることが相場を膠着させている元凶といえます。トランプ大統領の発言の「予測不能さ」が、投資家を大人しくさせているのです。とはいえ、波乱の夏相場に向け、為替相場が再び急変動に見舞われる可能性も視野に入れておいた方が良いでしょう。
チャート①は、私がトレンド判断によく使う移動平均線、MACD、一目均衡表の雲という三つのテクニカル指標で見たドル円、ユーロ円の、月足・週足・日足という三つの時間軸の動向です。為替相場が膠着状態にあることが一番よく分かるのは、ドル円、ユーロ円共に三つの時間軸のMACDが0ライン近辺でシグナルともつれ合っていてトレンドレスなことです。
ドル円は月足ベースでは2017年1月高値118円台から下落して雲入り、週足では既に雲の下まで落ちています。日足ベースでも200日移動平均線のはるか下に位置していますが、4月以降の上昇で、雲の下限を突破して雲入り→雲抜けを達成。底打ち反転機運にあります。
ユーロ円は日足ベースで2月に200日移動平均線を割り込みましたが、4月中旬以降、再び200日線越え。一目均衡表でも雲の下限から雲入りを果たし、再上昇をうかがう展開です。週足ベースでは下にある52週移動平均線や雲が支持帯となって反転上昇し、上昇トレンドが継続。月足では24か月移動平均線のかなり上を推移し、雲抜けも間近で、2017年春からの上昇トレンドはいまだ健在です。
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