相場で生き残るためのテクニカル特化型戦略|第3回 テクニカル指標は何が違うのか[田向宏行]
この連載では専業トレーダーの田向宏行さんに、テクニカル分析に特化したトレードテクニックを数回にわたってレクチャーしてもらいます。今回のテーマは、テクニカル指標の違いについてです。世の中にはたくさんのテクニカル指標が存在しますが、一体何が違うのか。ここで根本的な部分をしっかり押さえておきましょう。
※この記事は、FX攻略.com2018年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
田向宏行さんプロフィール
たむかい・ひろゆき。大学卒業後、資格試験に挑戦するが挫折。就職できず仕方なく起業。事業経営の間に投資を開始。事業譲渡後の現在は個人投資家。FX会社のセミナー企画・構成も手がけている。著書に『臆病な人でも勝てるFX入門』(池田書店)、『1日2回のチャートチェックで手堅く勝てる兼業FX』(自由国民社)。
テクニカル指標の違いは表現方法の違い
前号でも触れましたが、FXのテクニカル分析指標(インジケーターとも呼ばれます)は、どれも同じデータを元にしています。それは相場の値動きです。チャート上に表示されるテクニカル指標の形が違い、取引サインやタイミングが違うのは、元データは同じですが計算方法や描画が違う結果です。簡単にいうなら、チャートに示されるラインや描画の違いは、表現方法の違いというだけです。だから全てのテクニカルの元になるローソク足が示すものは何か、という基本をキッチリ理解して、シンプルなチャートを読み取る力を養うことが大事になります。
テクニカル指標を使う場合、この「表現方法の違い」というのがクセモノです。同じ値動きが元にあって、同じことを示していても、見た目が変わると良く見えたり、悪く見えたりするからです。そして見た目に注目すると、本質の値動きを忘れがちです。
FXで失敗しやすいのは、テクニカル指標に従わずに勝手に裏読みした場合か、どのテクニカルでも難しい相場のときです。つまり誰が取引しても利益になりにくい、失敗しやすい相場に自ら手を出している場合が多いのです。そうしたとき人の心は弱いので、自分の失敗を認めたくありません。損失を被ると、自分の使うテクニカル指標よりも他のテクニカル指標の方が良いように思えてきます。また、セミナーや誌面で見る他のテクニカル指標の取引成功例はとても魅力的に映り、自分がミスしたのではない、自分に読み取る力がなかったわけではない、このテクニカルが良くないのだ、と精神的に逃げやすくなります。これは経験上、私もよく分かります。
こうした心理状態は全くの初心者より少しFXに慣れた中級者で起こりやすそうです。いろいろな本を買ったり、ブログを読んだり、いろいろな手法を試す「自称中級者」が一番危険です。収益が安定的に黒字の人は自分の考え方を簡単に変えませんし、自分の取引方法を確立しています。FX取引で大事なのは自分が「取引の技術」を身につけることであって、「使う道具」でうまくなることはありません。
よろしいですか?