元為替ブローカーから学ぶ売買プランの作り方|第15回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析⑧[浅野敏郎]
浅野敏郎さんが、自身の経験と知識に裏打ちされた売買手法や相場観構築のノウハウを余すところなく教えてくれる本企画。今回も引き続き、直近と今後のドル円相場を読み解いてもらい、その上で最適な売買プランを提示していただきます。
※この記事は、FX攻略.com2018年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
浅野敏郎さんプロフィール
あさの・としろう。東短グループの外国為替売買仲介業者である、トウキョウ フォレックス株式会社、さらには、為替取引の世界シェア80%以上を誇るEBS社(現ICAP)等での勤務経験を持ち、1985年のプラザ合意、その後の超円高時代、バブル崩壊、2000年のユーロ統合などの歴史的相場を第一線で経験し、相場観を養う。その後、2社のFX取引会社の創業、プライベートFXファンドのディーラーも経験。現在、投資の学校グループの日刊ブログで執筆を担当。特技の映像編集を活かした分りやすい映像作品の支持者も多い。
中途半端なロング戦略はしばらくあり得ない
チャート① 出所:TradingViewによるUSDJPYチャート
前月号の段階で、ドル円週足チャートの最新足は直近の陰線を切り返す動きを見せており、コメントの中でも「もみ合い放れ」にそぐわない動きとして警戒はしていましたが、今月の週足(チャート①)を見てもお分かりの通り、切り返した週から5週連続で陽線を作り、安値③の直近安値Kをも越えて、I-Jmidの水準もわずかながら回復している状況です。
ただ、トレンド転換と位置づけるには不十分な点が多く見られ、今回はそのあたりを深堀りしていきますが、安値③から既に4円近い上昇を見せていることから、③を暫定的にMへ変更し、途中の①と②は削除いたします。
さてここでもう一度、私の売買プランにおける判断基準を考えてみますと、
①先行スパンの下で推移する場合は目線は売りであること
②転換線と基準線が逆転する中での上昇は、もみ合いの範囲であるとして新規の買いエントリーは考えないこと
に加えて、下値をMで切り下げている以上は、Jからの下落トレンドはまだ否定されていません。この意味から考えると、直近の明確な高値はLしかありませんから、中途半端なロング戦略はしばらくあり得ませんね。つまり、既に持っているショート・ポジションは手仕舞うべきではありますが、目先の強く見える上昇に乗り込む場面ではないということになります。
一方で、値幅的にここまで戻してしまった以上は、高値J以降の下落は非常に心細い状況であるのも事実で、N計算値も達成できないようでは、先月号での警戒が奇しくも正解だったのは残念ですが、総合的に判断した場合、少なくとももみ合いは想定しておく必要がありそうです。
よろしいですか?