外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|ISMなど経済指標に注目。乱高下相場の短期売買攻略法】
米中通商交渉や英国EU離脱問題も小康状態となる中、なにかと相場が乱高下しやすい年末がやってきました。ここ4年間のドル円は11月、12月に高値をつけたあと、正月を挟んだ年末年始に急落する流れが続いています。今回はドル円、ユーロドル、英ポンドの最近の値動きから短期売買で利益を得るためのテクニカル指標の選び方、使い方について解説します。
※この記事は、FX攻略.com2020年1月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
佐藤正和さんプロフィール
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演する他、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
ISMショックなど市場の焦点は、米中貿易戦争で悪化する米国経済指標に
2019年も余すところ、1か月。欧米のクリスマス休暇も間近に迫り、かつては閑散相場が恒例の時期でしたが、2015年の年末以降、株やドル円は12月までに高値をつけたあと、年末年始に急落する展開を4年にわたって繰り返しています。2019年の金融市場を激震させた米中貿易戦争は、10月初旬になんとか「第一段階の合意」にこぎつけました。英国の欧州連合(EU)からの無秩序離脱も、いまだ見通しは不透明ながら回避される方向に動いています。そう考えると、2019年の年末相場はリスクオンのドル高や株高が続く可能性もあります。
そんな中、今後、焦点になりそうなのは、やはり「実体経済」。これまで絶好調だった米国経済が米中貿易戦争の悪影響をどれぐらい受けているかを示す経済指標に注目が集まりそうです。そのきっかけになったのが米国の供給管理協会(ISM)が発表する製造業景況感指数です。10月1日発表の同指数(9月分)が10年以上ぶりの低水準まで悪化。「ISMショック」といえるドル円の急落につながりました。
チャート①はリーマンショックのあった2008年からのドル円、ISM製造業景況感指数、雇用統計の非農業部門新規雇用者数(NFP)の推移です。
ISM指数の落ち込みが鮮明ですが、これが一時的なものか、さらに落ち込むのかは不明です。ただ、2017年~2018年には月間20万人超を連発していたNFPも8月、9月と2か月連続で予想を下回って落ち込んでいます。
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