テーマは成長率と金利格差からリスク回避の動きへ[太田二郎]
太田二郎さんプロフィール
おおた・じろう。FXストラテジスト。1979年にザ・ファースト・ナショナル・バンク・オブ・ボストン東京支店にてFX取引を始める。後にマニュファクチャラーズ・ハノーバー・トラスト銀行、BHF銀行、ナショナル・ウエストミンスター銀行、ING銀行で法人向けの為替取引に従事、その後、リテールFXに従事し、米国のGFT東京支店で営業、後にマーケット・ストラテジストを経験、現在は個人投資家として活躍。
※この記事は、FX攻略.com2018年6月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
貿易戦争へのリスク
トランプ大統領は、全ての国を適応対象として突然、鉄鋼25%とアルミニウム10%の輸入関税の導入を決定。ただし、北米自由貿易協定(NAFTA)加盟国のカナダとメキシコは適応除外のお墨付きをもらっており、欧州連合(EU)、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジル、韓国も当面、適用除外と思われています。また日本に対しては、自由貿易協定(FTA)の交渉を希望し、主ターゲットの中国に対しては米国との貿易赤字を1000億ドル削減するように要請との報道もありました。
3月22日に中国に対して知的財産侵害や企業への技術移転強要への対抗措置として、「米通商法301条」を発動し、輸入関税とは別枠で年500億ドルの制裁措置を決定しています。また3月15日に米国際貿易委員会(ITC)は、中国製アルミホイルの輸入で米企業が損害を受けているとの最終判断を下し、中国製品に対する制裁関税の適用が確定済みで、中国の報復関税の実施が避けられそうにない状態です。
EUや日本に対して、米国の貿易赤字削減に向け輸入制限を実施する圧力を強めており、EUはこの措置に反発。オートバイやジーンズ、靴、化粧品、バーボンなど計100点近い対象品目をリストアップするなど報復関税を計画中で、本格的な貿易戦争への懸念も広まっています。
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