欧州ファンダメンタルズ入門|第8回 ユーロ圏加盟国の財政政策について[松崎美子]
松崎美子さんプロフィール
まつざき・よしこ。スイス銀行東京支店でトレーダー人生をスタート。1988年渡英、1989年よりバークレイズ銀行ロンドン本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年に同じくロンドン・シティにある米メリルリンチ投資銀行に転職。その後2000年に退職。現在はFX取引に加え、日本の個人投資家向けにブログやセミナー、YouTubeを通じて欧州直送の情報を発信。著書に『松崎美子のロンドンFX』『ずっと稼げるロンドンFX』(共に自由国民社)。2018年より「ファンダメンタルズ・カレッジ」を運営。DMMで「FXの流儀」のオンラインサロンも始めた。
ブログ:http://londonfx.blog102.fc2.com/
ファンダメンタルズ・カレッジ:https://fundamentals-college.com/
オンラインサロン:https://lounge.dmm.com/detail/1215/
大きく変わった欧州の財政政策相互監視
ここまでずっと欧州と英国の経済・金融政策を中心にお話ししてきたので、今回は財政政策について触れておこうと思います。
FXを始めて間もない方はご存じないかもしれませんが、2008年の世界金融危機直後から、ユーロ圏では債務危機問題が発覚し、約5年にわたり苦しい時期が続いていました。ギリシャから端を発した債務危機は、格付けの低い南欧州各国を直撃して国債価格は暴落し、長期金利が大きく上昇しました。結果として、ユーロ加盟国の一部は自力による財政運営を断念し、欧州連合(EU)からの援助で生きながらえたという苦しい経験があります。
これら負の連鎖を断ち切るため、2012年3月のEUサミットで、ユーロ制度の抜本改革の一環として、統合の深化を通じた危機の克服を目指すことで合意。これを実現するには、加盟各国が国家主権の一部を放棄し、EUに移譲する必要が出てきました。驚いたことに、国家主権の一部移譲という前提にもかかわらずユーロ加盟国は統合強化を望み、本格的な統合のステップとして「銀行・財政・経済・政治同盟の4本の柱」を設定したのです(図①)。
このページは有名トレーダーの記事&動画でFXを学べる定額制サービス「マネーアップ」のコンテンツです。
続きをご覧いただくにはマネーアップへのご登録が必要になります(詳しくはバナーをクリック!)
日本で唯一のFX専門雑誌「FX攻略.com」公式サイトはこちら
よろしいですか?