【無料全文公開】元為替ブローカーから学ぶFXの売買プランの作り方|第7回 直近のドル円相場展望[浅野敏郎]
浅野敏郎さんが、自身の経験と知識に裏打ちされた売買手法や相場観構築のノウハウを余すところなく教えてくれる本企画。今回も前回に続いて、ドル円相場の展望について解説してもらいます。三波動の考え方をベースとした相場分析に注目です。
※この記事は、FX攻略.com2017年11月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
浅野敏郎さんプロフィール
あさの・としろう。東短グループの外国為替売買仲介業者である、トウキョウ フォレックス株式会社、さらには、為替取引の世界シェア80%以上を誇るEBS社(現ICAP)等での勤務経験を持ち、1985年のプラザ合意、その後の超円高時代、バブル崩壊、2000年のユーロ統合などの歴史的相場を第一線で経験し、相場観を養う。その後、2社のFX取引会社の創業、プライベートFXファンドのディーラーも経験。現在、投資の学校グループの日刊ブログで執筆を担当。特技の映像編集を活かした分りやすい映像作品の支持者も多い。
上昇相場の定義から見た直近のドル円
何をもって上昇相場や下落相場とするか、個人ごとに根拠が違う可能性があります。同じ相場に取り組む考え方が同じではないとすれば、この世の中にある多岐多様な産業や文化を通じても、非常に特殊な世界でしょう。
しかし最近になってようやく、上昇相場は高値安値の切り上げ、下落相場は高値安値の切り下げ、という共通認識が広まりつつあり、やはりこの考え方を共通の定義とすべきです。
高値と安値を切り上げる上昇相場について、最も短い単位を考えると2点の高値同士と安値同士の比較で定義できます。それらを結んでみると三つの波動が現れますが、この考え方は一目均衡表の三波動として定義されています(図①参照)。
さて、Aの安値はそれまで下げてきた相場がAで反発した後で分かり、次の高値Bもそこで反落した後でしか分かりませんが、いずれにしてもA−Bは誰が見ても上昇したと認識できます。B以降の反落期では、どこまで下落するか不明なため、この時点で基準となる安値と高値はAとBのみです。言い換えればこの期間は、A−B間でのもみ合いとしかいえないわけです。
Bからの下落がCで下げ止まった場合、安値はAからCへ切り上げるため、上昇相場の安値条件をクリアしたことになります。Cから反発した相場はBの高値へと上昇しますが、新安値Cと、まだ1点しかない高値Bとの間の変動は、上下いずれももみ合いだといえるでしょう。
実はこの時点で、二つの可能性を考慮する必要があります(図②参照)。まず一つ目は、Bの高値を越える場合です。現行価格はBに入れ替わって新高値になることから、既に切り上げた2点の安値に加えて、同時に高値Bも切り上げることになり、一気に上昇相場が確定します。つまり直近高値を越えたブレイクアウトの最もシンプルな形と一致します。
ここで注意が必要なのは、一番底と二番底との価格差が少ない場合、Bを越えるまでにその分の上昇力を要するため、Bを越えて続伸できる余力が少ない点です。
そして二つ目は、Bを越えられずに反落する場合です。この場合、再びB−C間でもみ合いを継続することになりますが、Cを割り込んだ場合、新たにできる高値Dは高値Bから切り下がり、Cの安値を割り込むと同時に安値を切り下げますから、目先はB−Cを基準とした下落相場が完成します。もちろん大きな目線では、Aを割り込まない限りA−B間でのもみ合いですが、目先は先に完成したB−C−D−Eの下げ三波動の継続性にも気を配る必要があるでしょう。
注目すべきポイントは③を割り込むかどうか
では、ここまでの説明をドル円の日足に当てはめてみます(チャート①参照)。
安値Iは(A)、高値Jは(B)にあたります。①は当初(C)に該当しますが、②がJ(B)を越えられず、高値②(D)が高値切り下げとなり、①(C)を割り込んだことで(B)−(C)の下落が継続し、(C)は③に入れ替わりました。その後の反発でできた高値④は②も越えられず、J−③の下落が目先優勢なことが判明し、③−④への反落に至ります。しかし今度は⑤が③を割り込まなかったことで、現在はI−J−③をA−B−Cとして、A−Bの継続が問われている状況に見えます。
今月できた下値⑦は、直近の⑤を僅かに割り込みましたが③は割り込んでおらず、加えて直近高値㈮はその前の高値④を僅かに越えていることが、現在どうにか下げ渋っている根拠になっている形です。問題は③を割り込んだ場合、J−③の下落が継続することになるため、J−③−⑥をA−B−Cとする下落の三波動を考えざるを得ない点です。
重要なH−Iの半値を中心に上下してきた①以降のもみ合いですが、③を割り込むと週足一目均衡表の先行スパンも同時に割り込むことになり、日足、週足の二つが下げ時代に入る点は要注意です。次号までの間に③をしっかり割り込む場合があれば、Iから引けるサポートラインの延長上にあたる、105円台中盤付近への下落を想定しておきたいと思います。
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