外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|「ボリンジャーバンド」で見るコロナショックの衝撃と為替変動率】
欧米の感染者・死者はピークアウトしそうになっているものの、新型コロナウイルスの蔓延がいまだ世界経済と金融市場を席巻しています。変動率マックスの相場分析に役立つ指標といえば「ボリンジャーバンド」。95%以上の確率でその中に値動きが収まるといわれる±2σバンドなどを使って、「驚き」といえるドル円横ばい相場など、コロナショック下の為替市場の現在を分析してみましょう。
※この記事は、FX攻略.com2020年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
佐藤正和さんプロフィール
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演する他、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
ドル円の短期乱高下相場を制するのはボリンジャーバンドのバンドウォーク
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大はとどまるところを知らず、感染者400万人、死者30万人越えは確実の情勢です。
米国が世界一の感染地になったことで、金融市場で注目されるようになったのが、米労働省が毎週木曜日に発表する「週間新規失業保険申請件数」です。申請した失業者の数は3月中旬から4週間で2200万人に達し、過去10年で創出した雇用がたった1か月で消失してしまうという凄まじい状況になっています。2月時点では3.5%と過去最低水準だった失業率が20%超に跳ね上がるという最悪のシナリオが現実になりそうです。
4月中旬に国際通貨基金(IMF)が発表した世界経済見通しも大幅に下方修正。2020年の世界全体の成長率は-3.0%と予測されています。これは2009年のリーマンショック後に記録したマイナス成長を下回り、1929年の大恐慌以来の大幅な落ち込み。国別でも日本-5.2%、米国-5.9%、ユーロ圏-7.5%と特に落ち込みが激しくなっています。
2021年についても、日本は+3.0%とプラス成長を回復するものの、ユーロ圏の+4.7%、米国の+4.7%と比べ回復力が弱く、V字回復は難しいという予測です。さらに新型コロナウイルスの感染拡大が終息しないと、2年連続でマイナス成長になる可能性もあるとIMFは警告しています。発生源の中国も2020年第1四半期の国内総生産(GDP)が史上初めて-6.8%減まで落ち込みました。
まさに衝撃的な経済指標の低迷が続き、まったく先が見通せない状況です。そんなとき役立つのが変動率(ボラティリティ)の面から値動きを見る「ボリンジャーバンド」。テクニカル指標シリーズ第4弾の今回はボリンジャーバンドを使って、一寸先は闇と化した為替市場を検証します。
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