【無料全文公開】私が見た、成功する人 失敗する人[水上紀行]
FXはゼロサムゲームであり、利益を得る人がいる反面、損失を被る人がいるので成立しています。では、成功するトレーダーと失敗するトレーダーの違いは、どこにあるのでしょうか? 水上紀行さんが長年の経験から導き出した、成功する人および失敗する人の特徴について解説してもらいます。
※この記事は、FX攻略.com2017年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
水上紀行さんプロフィール
みずかみ・のりゆき。バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年、上智大学経済学部卒業後、三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。5年間の支店業務を経て、ロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。東京外国為替市場で「三和の水上」の名で知られる。ドレスナー銀行にて、外国為替部長。1996年より RBS銀行にて、外国為替部長を経て、外為営業部長。2007年より バーニャ マーケット フォーカスト代表。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。
成功者は先読みに長け迷いがなくて潔い!
端的にいって、成功する人は先を読んで人より早く行動に出る人だと思います。相場の世界では皆、何が儲かるのか、常に目を光らせています。大多数の人が同じように儲かると考えるようになれば、寄ってたかってその相場に参入してきます。とはいえ、相場の格言に「人の行く裏に道あり花の山」という言葉があるように、いかに人とは違った切り口で相場を見ることができるかが大切です。
失敗する人の多くは、その相場のテーマが確実になるまで動かず、これはもう大丈夫だろうと思ったときに参入してきます。いってみれば、ひと相場が終わる最終段階での参入となってしまい、それでは儲かりません。やはり、ある程度のリスクを取ってこその相場であり、石橋を叩いてばかりいてはうまくいかないものです。また、成功する人は潔いともいえます。相場である以上、100%当てることは不可能です。成功する人は間違ったと思えば、躊躇なくポジションを切ります。
私の前の世代には、有名ディーラーと呼ばれる人たちが結構いました。その中のお一人のディーリング風景を、そのアシスタントから聞いたことがあります。有名ディーラーが「これは絶対上げだ」と豪語しているので一緒になって買っていたら、いつの間にか豹変して売りに変わっていて、かなり慌てたそうです。
相場の世界において、「君子豹変す」は善だと思います。それよりもマーケットにすがって相場の反転を神頼みする方が、よっぽど危険です。そして、失敗する人には神頼みする方が多いです。
ホワイトナイトの登場を期待した時点で勝負あり
自分のポジションがまずくなったとき、「それは相場が悪い」「きっと助けが来る」と考えてはいけません。自らの相場の見方に誤りがあると解釈することが大切です。これは、実はとても大事なことですので、例を挙げてみましょう。
ホワイトナイト(白馬の騎士)はもともと、おとぎ話の中で登場する、主人公を危機的状況から救ってくれる頼もしい存在です。 また、ビジネスの世界においてM&A(買収・合併)で買収される企業にとって、友好的な第三者(企業)のことをホワイトナイトと呼びます。 そして、相場の世界でも自分の心の中にホワイトナイトは存在します。
これはどういうことかと申しますと、ポジションがアゲインスト(不利)になったとき、一発逆転となるようなニュースや経済指標の発表などが出ることを期待することが、ホワイトナイトの登場を願っているということです。
相場の世界においては、ホワイトナイトの登場を願ったその時点で既に勝負に負けています。つまり、自分ではどうにもならないところまで追い詰められ、ホワイトナイトの登場という神頼みにすがろうとすること自体が、相場の深みにはまってしまっていることを意味しています。
そこまでアゲインストになる過程で、いったん手仕舞って損失を最小限に留めるチャンスはいくらでもあったと思います。しかし、そこで小さな損失を出すことをためらったばかりに、大きな含み損を抱えることになってしまうのです。
したがって、自分の相場の見方が間違っていると気付いたときには躊躇なく止めることが大切です。もし追い詰められるような事態に陥り、心の中でホワイトナイトの登場を願うようになっていれば、それは手仕舞いのサインと心得て、痛みは伴いますがいったん勇気ある撤退をすることをお勧めします。
取引のたびに一喜一憂しないよう心がける
さて、最後に成功する人と失敗する人との違いについてまとめます。成功する人はポーカーフェイスなのに対して、失敗する人は勝ってははしゃぎ、負けてはしょげるという感情の起伏がもろに出る傾向があります。
「投機をなす者、楽悲を戒む」という言葉がありますが、相場をやる以上は勝った負けたとはしゃいだりしょげたりせず、常にポーカーフェースであるべきだという戒めと捉えています。
勝つと気が大きくなってもっと儲けようという欲望が膨らんで利食わず、せっかくの儲けを飛ばす。負ければ悔しさのあまりにまた突撃して、目まいがするほどやられてしょげ返る。これを繰り返していては成長がありません。 勝ったときには浮き立つ気持ちを自制し、負けたときには悔しさで熱くなる気持ちをグッと抑え、この負けを決して忘れまいと誓うことが、次へのステップアップにつながるのではないかと個人的には思います。
相場の世界、宵越しの金は持たない的な考え方もありだと思いますし、それはその人自身の考え方ですから、とやかくいう問題ではありません。しかし、FXを投資としてお考えであれば、自分の大切なお金を使う以上、リターンがあってこそですので、言うは易く行うは難しではありますが、ぜひこの「投機をなす者、楽悲を戒む」という言葉を重要な局面で思い出していただければと思います。
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