【無料全文公開】元為替ブローカーから学ぶFXの売買プランの作り方|第6回 これまでのまとめ[浅野敏郎]
浅野敏郎さんが、自身の経験と知識に裏打ちされた売買手法や相場観構築のノウハウを余ところなく教えてくれる本企画。今回は過去5回の連載で教えていただいた内容の要点をまとめてもらいます。また、ドル円相場の今後の展望についても解説していただきます。
※この記事は、FX攻略.com2017年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
浅野敏郎さんプロフィール
あさの・としろう。東短グループの外国為替売買仲介業者である、トウキョウ フォレックス株式会社、さらには、為替取引の世界シェア80%以上を誇るEBS社(現ICAP)等での勤務経験を持ち、1985年のプラザ合意、その後の超円高時代、バブル崩壊、2000年のユーロ統合などの歴史的相場を第一線で経験し、相場観を養う。その後、2社のFX取引会社の創業、プライベートFXファンドのディーラーも経験。現在、投資の学校グループの日刊ブログで執筆を担当。特技の映像編集を活かした分りやすい映像作品の支持者も多い。
過去の価格を記しダマシを回避する
「売買プランの作り方」として、私が普段取り組んでいる準備的な手順や考え方をここまで述べてきました。現在の相場に働いている潜在的な方向性を、例えば一目均衡表の先行スパンの位置でイメージし、様子見なのか売買するのかを見極めたいとしました。その上で、売買すると判断した際、取引開始のタイミングはトレンドの起点に立つべきですが、もみ合いとトレンドを繰り返す相場に当てはめれば、もみ合いの終点とトレンドの起点は隣接しており、つまりは比較的見つけやすいもみ合い相場の終点こそが、売買タイミングになるわけです。
しかし、もみ合いを脱する相場は、脱したかに見えて逆戻りする「ダマシ」という現象が多く、またその後のトレンド相場も突然として上昇や下落を止め、「高値掴み」や「底値叩き」につながりやすく、私たち一般投資家にとって大きなリスクとなります。
ところが、こうした現象は過去の価格の影響が主な要因になっている場合が多く、その価格水準があらかじめ分かっていれば、ダマシや天井掴み、底値叩きを少しでも回避できると考え、チャートの将来のスペースにこうした影響を書き記すという提案をしました。
こうした影響とは具体的に、①過去の重要な高値と安値②過去に重要な影響を与えたトレンドラインという極めてありふれたチャートポイントの把握方法③過去に強かった一つのトレンドにおける高値と安値の半値−という3種類の価格でした。
ドル円はもみ合いからトレンド入りするか?
さて、連載も6回を迎えますが、残念ながらドル円相場は一貫してもみ合いでした。ここまでもみ合うと、いよいよトレンド相場の入り口の判断が重要になってきたと感じます。
掲載するチャートには既に多くのラインが引かれていますが、段階を踏んできたラインですから、今集中すべきものは限られます。新たに引かなければいけない予測線も出てきましたので、随時加えていきたいと思います。
半値線を使った判断は前号で説明しました。ドル円月足のチャート①では、強かった上昇相場G-HがH-Iの押し目を入れた後、H-Iの半値以上で底堅く推移できている現状はG-Hの影響が生きている状況ですから、取り組むとすれば上昇を意識したいところです。
それを考慮して週足のチャート②を見ますと、J以降の反落でつけた最安値③も、I-Jの半値で押し目を作れており、その後の押し目⑤は安値を切り上げたことから、前号ではやや具体的に買いのタイミングを示唆できました。相場はその後も順調に上昇し、直近高値④を上抜きましたが継続できずに反落し、今現在7月17日週の陰線で終わっています。
今後の注目点としては、以前から指摘しているB-Gの半値水準とH-Iの半値水準が、111.30~111.55水準で接近しており、今後の騰落分岐水準として重要になります。気になるのは、この重要な水準を直近の一週間で一気に割り込み、そのまま引けている点です。次週以降すぐに111円台中盤以上を回復できれば、上昇目線も維持できますが、もし③の安値108.13をしっかり割り込んだ場合は、同時に先行スパンを下抜くことにもなり、しばらく上昇目線はお預けになる公算が高くなるでしょう。
I-Jの上昇を測る上でI-Jの半値線を、J-③の反落を測る上でJ-③の半値線を書き加えましたので、目先の目安にしたいと思います。
直近の高値や安値を更新するかにも注目
さておしまいに、上昇と下落に対する判断方法をご紹介しましょう。高値を越えたり安値を割り込んだりすること自体が方向性を示していることから、これまでは重要な高値や安値を予測に利用する提案をしてきましたが、実は直近の高値や安値を更新することも方向を継続している証となり、重要です。
例えばチャート②の場合、Jから③にかけての変動は、①の安値を切り下げて③に至り、②でJの高値を切り下げていることから、J-①の下落を③まで継続したと判断できます。一方、③から⑥に至る変動は、⑤で③の安値を切り上げ、⑥で④の高値を切り上げており、弱い反発の兆しになっています。ただ、②を切り上げるまでは、Jから③の下落は継続していることになり、目先は②と③の間でもみ合っているという判断が適切かと思います。
この考え方は、一目均衡表の三波動やフィボナッチリトレースメントにも似たようなアプローチとなります。次回、詳しく説明してみたいと思います。
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