これからの外国為替場の行方 第124回[田嶋智太郎]
田嶋智太郎(たじま・ともたろう)さんプロフィール
経済アナリスト。アルフィナンツ代表取締役。1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、ひいては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」、ダイワ・証券情報TV「エコノミ☆マルシェ」などのレギュラーコメンテータを務める。主なDVDは「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX入門」「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX実践テクニカル分析編」。主な著書は『財産見直しマニュアル』(ぱる出版)、『FXチャート「儲け」の方程式』(アルケミックス)、『なぜFXで資産リッチになれるのか?』(テクスト)など多数。最新刊は『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)。
※この記事は、FX攻略.com2020年8月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
米・日株高でリスク選好もドル円は方向感なし
米国の代表的な株価指数であるNYダウ平均は、執筆時までに2万5000ドルの大台を回復した。3月下旬につけた安値=1万8213ドルからの上昇率は38%にもなるというから驚く。同様に、足下では日経平均株価が2万1400円台まで値を戻す場面も目の当たりにされており、3月安値=1万6358円からの上昇率は30%を超える。その結果、今年1月高値から3月安値までの下げに対する61.8%戻しを達成することとなった。
前回更新分の本欄で、3月の株価急落後に2番底を見に行く可能性について、筆者は「誰もが口を揃えて『2番底』の到来を警告するといった状況にあって、果たして実際に彼らの予想通りに事が運ぶなどということがあろうか」と述べた。そして案の定、執筆時まで2番底を探る動きは見られていない。
より論理的に解釈すれば、やはり新型コロナウイルス感染拡大の影響で、後に目の当たりにすることが当初から容易に想像できた「実体悪」の部分を、相場が先回りして織り込み、実際に酷い経済指標や景気データが次々に出てきても、そこで一旦「悪材料出尽し」と捉えたことが大きい。
むろん、3月下旬に米連邦準備制度理事会(FRB)の元議長、ベン・バーナンキ氏が述べていたように「ウイルス感染と世界恐慌とを比較して考えるのは間違っている」「世界恐慌は人為的なものだが、ウイルスは自然災害のようなものである」との認識が広く共有されたという点も見逃せない。
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