“需給の鬼”こと井上哲男の相場の潮流〜プロの市場分析ノウハウと注目銘柄が分かる!|第5回
井上哲男さんプロフィール
いのうえ・てつお。スプリングキャピタル社代表、日本証券アナリスト協会検定会員。上智大学卒業後、国内保険会社の運用部門長を経て、(現オールド・ミューチュアルグループ)UAMジャパン・インクのチーフ・ストラテジスト兼日本株式運用部長に転身。その後、プラウド投資顧問、アジア最大級のファンド・オブ・ファンズの運用会社であるMCPグループなどで同職を務めた後、独立。“需給の鬼”と呼ばれ、日経CNBCテレビ「夜エクスプレス」「〜攻めのIR〜MarketBreakthrough」、ラジオNIKKEI「アサザイ」などのパーソナリティも務めている。
オリジナルのテクニカル分析や需給動向により、独自の視点から株式相場(株式指数)の方向性を分析する井上氏のメルマガ「相場の潮流」、井上氏とBコミさんこと坂本慎太郎氏が相場解説、ピックアップ銘柄の紹介を行う動画スクール「勝者のスクリーニング-株ハイブリッドバトル-」がGogoJungle(ゴゴジャン)から好評発売中。
メルマガ:相場の潮流
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※この記事は、FX攻略.com2020年8月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
主役の欧州が4月に売り越し
東証が4月の海外投資家地域別動向を発表したが、日経平均は月次で1276円(6.8%)上昇したものの、海外投資家全体で日本株を4880億円売り越していたことが判明した。3月の2兆3590億円よりも減少してはいるが、それでも売り越しであったこと、そして海外投資家の“主役”である「欧州」が3087億円の売り越しであったことにショックを受けている。
図①は、上海ショックが起きた2015年以降の、欧州の月別動向金額を累計したもの(2020年4月データを含む)だが、はっきりと4月と10月に買いを入れていることが分かる。そして4月については、2011年以降のデータで売り越したことはなかったのだが、今回初めて売り越しを記録したのである。
日銀の上場投資信託(ETF)年間購入枠が12兆円に倍増したことから、購入する日の日次インパクトが2000億円にもなったため指数が下支えされたこと、また、それまで溜まっていた空売り玉の買い戻しが出たことが4月の指数上昇につながったのだが、外国人の日本株購入意欲は盛り上がらなかったことが分かる。
この欧州が売り越している理由の一つが、先月寄稿した原油安の影響であろう。原油安は産油国の財政を圧迫することから、ファンドから資金の引き上げが行われ、それがファンドによる世界株式の換金売りを招くのである。
3月決算銘柄の決算発表が峠を越したが、およそ、その6割以上の企業が2020年度の業績見込みを出せずにいる。このことは1株当たり利益(EPS)の算出ができないことを意味するため、PERという重要なバリュエーション指標が機能しないことになる。無論、指数についても同じである。バリュエーションが機能しない以上、株価の動きはテクニカルの説明力が強くなるが、指数の上昇、下落だけでなく、その背景に海外投資家の日本株需給がどのように存在していたのかをきちんと見ていかなくてはならない(2020年5月24日寄稿)。
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