【無料全文公開】マックス岩本の「フォーメーション分析」を理解する その3
フォーメーション分析を題材にしたこの連載も、3回目を迎えました。トライアングルフォーメーション、ヘッドアンドショルダーズに続き、マックス岩本さんが教えてくれるのは、初心者から上級者まで愛用しているチャートパターン「ダブルフォーメーション」です。
※この記事は、FX攻略.com2017年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
マックス岩本さんプロフィール
いわもと・けいすけ。「中卒認定テクニカルアナリスト」という異名の通り、アナリスト業界ではまれに見るノー学歴。学歴社会が色濃く残る昨今でも、そんなことがいっさい関係しないFX市場を相手に日々奮闘中。「誰もが気軽にFXを始められる今だからこそ、しっかり勝ち続けられる技術を身につけてほしい」という気持ちで、連載やセミナー講師を務めています。
トレードスタイルを問わず使える分析法
今回解説するダブルフォーメーションは、ヘッドアンドショルダーズ同様に、天井や大底など、トレンドの転換局面に現れるチャートパターンです。ヘッドアンドショルダーズに比べて、発生頻度が高く汎用的なボトムやトップを形成するチャートパターンで、視覚的にも認識しやすいため初心者から上級者まで今なお多くのトレーダーに愛用される分析手法の一つです。
日本では、その形状から「二点天井(底)」、「毛抜き天井(底)」の名で親しまれています。ダブルフォーメーションは、その名の通り、相場の高値圏(底値圏)にて2点の高値(安値)を付け、のちにトレンド転換するのが最大の特徴です。
トレンド反転型のチャートパターンではあるものの、時間軸に際限なく、さまざまな局面で現れるため、デイトレーダーからスイングトレーダーまで、習得しておいて損はない分析手法といえます。
しかしながら、「発生頻度が高い」と「利益が上がる」はイコールではありません。発生頻度が高いが故に、天井圏かと思いきや再浮上。または底値を打ったかと思いきや反落し、結果ダマシとなってしまう局面も少なくありません。パターンの一部にだけフォーカスし、安易に飛びつくのはあまりにも危険です。そのため他のパターン同様、それ以前の値動きやパターンが完成するまでのプロセスに着目し、市場参加者の心理を読み解くことが大切です。
それではまず、ダブルトップから解説していきます。図①がダブルトップの値動きのイメージです。価格が上昇トレンドを形成している局面を想定してみてください。
継続的に高値安値を切り上げる上昇トレンドが確認される中、高値Aを付けた後に反落し、上昇トレンドライン(点B)まで下押ししました。しかし、下値探りも限定的で同ラインに下支えられるかたちで再上昇。
ここまでは、何の変哲もない上昇チャネル内の値動きです。いまだ上昇トレンドが継続していることに変わりはなく、衰えすら確認されておりません。つまり、積極的に買い場を探っていきたい局面です。
では、その次の段階に注目してください。価格は、直近の高値の位置する点Cまで水準を切り上げたものの、突破できずに失速。安値Bから水平に引かれたネックラインを割り込むと、一気に安値Dまで下値を探りました。ここでダブルトップが完成します。
その後は、価格は点Eにかけて「リターンムーブ」と呼ばれる反動高を迎えますが、事前に割り込んだネックラインが上値抵抗線となり反落、点Fにかけて下落するというものです。
なお、ダブルトップ完成後の価格動向の予測は、高値Cからネックラインまでの値幅をネックラインの価格からマイナスした水準が最低目標値とされています。
ダブルボトムはダブルトップの裏返しですので考え方は一緒です。では続いて、直近のチャートを対象に具体的なエントリーポイントや注意点を解説していきます。
パターン完成までのプロセスに注目
チャート①はドル円の30分足チャートにダブルトップが確認された事例です。一時は、上昇チャネルラインを突破するほど強いトレンドが確認されましたが、押し目を付けてからの再浮上の局面では、上値動意が限定的でチャネルラインに未達となりました。
これは、トレンドライン分析の観点から買い勢いの衰えを示唆するシグナルです。そして、その後は上昇トレンドラインの下抜けにてトレンド転換が明確化し、ネックラインを割り込むことでそれが決定的になります。
ネックラインを割り込んだ際のローソク足の値幅を見ても、不特定多数の市場参加者が、新規・決済に関係なく「売り」を選択したのがお分かりいただけるでしょう。
エントリーポイントはもちろん、ネックラインを割り込んだ赤丸のポイントです。上昇トレンドラインの下抜けが確認された青丸のポイントでの売りも決して間違いではありませんが、下値での買い勢いが強い場合にはネックラインを割り込まずに再浮上することもありますので、ネックラインにて底堅さが確認されたのであれば、いったん手仕舞うなど柔軟な売買判断が必要です。
なお、ネックラインを割り込んでからの下値目処としては、最高値からネックラインまでの値幅分の下落が一つの目安となりますが、本事例のように、その2倍の値幅分下落(上昇)するケースもあるため、ダブルトップが完成するまでに掛かった時間やトレンド転換後のローソク足のサイズ、リターンムーブなどの値幅などにも注目し、トレンドの強い局面では最大限利益の追求を行っていきましょう。
2点の高値(安値)とネックラインのみに注目しがちなダブルトップ(ボトム)ですが、大事なことはそれが完成するまでの段階的なプロセスです。どこでトレンドが衰え、何を根拠にトレンドが転換したと認識できるのか? そして、そのとき市場参加者はどのような気持ちになり、どう行動するのか? それを知る術こそがこのチャートパターンであり、利益をモノにする秘訣です。
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