外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|年末に向け上昇が多発、今年も!?秋の為替相場のアノマリー】
新型コロナウイルスの感染拡大は終息するのか、米国大統領に就任するのは誰か、などイベント満載の秋相場がやってきました。例年、年末に向けた為替相場では、9月以降、上昇トレンドが加速する展開が多くなっています。ここ10年近い秋相場の展開を各通貨ペアの過去の値動きをもとに検証。今年のFX取引に役立てましょう。
※この記事は、FX攻略.com2020年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
佐藤正和さんプロフィール
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演する他、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
常識外の「リスクオフの円安」は続くのか?ドル円の歴代秋相場は上昇トレンドが多い!
前回の連載では、106円台~110円台でレンジ相場の続くドル円を「上がったら売って、下がったら買う」逆張り戦略について解説しました。確かにドル円は非常に狭い値幅で上下動しているので、その戦略は有効です。しかし、コロナショック以降、従来のドル円の「常識」が大きく変わりつつあるのも事実です。
日本が世界一の対外債権国だということもあり、従来、ドル円は金融不安や政治危機などリスクが台頭すると売られ、世界経済が順風満帆なときは買われる傾向が非常に強く、「リスクオフ(危機回避)=円高、リスクオン=円安」という図式がかなりの確率で当てはまりました。
しかし、2~3月に為替市場を襲ったコロナショックでは当初、金融不安によるドル資金ショートの思惑からドルが買われ、「常識外」の1ドル112円台の高値をつけました。その後、米国が欧州からの入国制限に踏み切り、原油価格が暴落した3月には、教科書通りのリスクオフで一時的に1ドル101円台まで円高が進みましたが、それ以降も株価が急落するとリスク回避のドル高が進み、それが対円にも波及する「リスクオフでもドル高円安」という常識外の展開が何度も出現しています。
では、仮に今後、米国株など世界同時株安が発生した際、その法則に従って、素直にドルを買っていいものか? 私は確信が持てません。リスクオフが急速に高まれば、やはり円が買われ円高が進行するといった従来のイメージを払拭できないからです。
ドル円の値動きを完全なレンジ相場と割り切れば、「比較的見通しがつきやすい相場展開」と見なすことができます。にもかかわらず、予想が難しいのはそのせいです。
よろしいですか?