【無料全文公開】FXトレード作戦室〜2008年から蓄積したデータでFX初心者の失敗の元を絶つ!〜第2回 スキャルピングを始める前に[FX攻略.com編集部]
この国で唯一の月刊FX情報誌を刊行している立場から、多くのトレーダーが犯しやすいミス、陥りがちな勘違いを抽出し、皆さんと共有していくのが当企画の目的です。今回は「スキャルピング」について考えていきたいと思います。
※この記事は、FX攻略.com2017年8月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
スキャルピングの歴史は浅い
FX攻略が、これまでに蓄積してきた読者データを基に、発展途上の個人投資家が陥りがちな失敗トレードを予防していこうという企画です。
今月は、根強い人気を誇るスキャルピングについて考えていきたいと思います。
スキャルピングとは、ポジション保有時間が数分程度の超短期トレードのことで、場合によっては秒単位での取引になることもあります。
これほどの短期売買のため、軽快に動く取引デバイスと、高速回線が前提の取引スタイルです。環境的にスキャルピングができるようになったのは2000年代であり、長い歴史を持つ為替相場にあって、非常に新しい考え方であるといえます。
取引時間の長短に優劣の差はない
上の表にまとめましたが、短期トレードと長期トレード(ここではスイングトレード)の各要素は、対になっているものが多いです。ポジション保有時間は、ファンダメンタルズ要素の影響度に比例しますし、1回の損益や必要資金のサイズを左右します。
こういったところから、中長期のトレードと比べ、スキャルピングは、ファンダメンタルズ分析不要、小額資金でも参入可能といえます。このあたりにスキャルピングの魅力を感じ、チャレンジしようとお考えの方もたくさんいらっしゃるでしょう。
トレードのスタイルは投資家の生活スタイルや考え方とも密接な関係があり、本人とどれだけマッチしているかが重要です。それこそ人それぞれの部分が大きく、ポジション保有時間の違いに、本質的な優劣差はないと考えた方が良いでしょう。
チャートの前に居座る必要あり
ただし、ここまでの基本的な考え方とは別に、スキャルピング独自の難しさもあり、これがあまり理解されていないようなのです。
まず、スキャルピングは短期決戦になりますが、実働時間も短いわけではありません。目まぐるしく変化する1分足や5分足といった短いチャート上でのサインでエントリーし、なおかつすぐイグジットするわけですから、なかなかチャートから目が離せないのです。これが例えば月足のトレードなら、日々の変化は僅かなので、僅かな時間で分析ができます。
加えて、売買の操作を短時間で一気に行うため、指値や逆指値を入れにくく、成行でのトレードが多くなる点も、チャート拘束時間を長くします。
次に、トレードが非常に薄利である点。スキャルピングはトレード時間が短い点は強調されるものの、1回のトレードで得られる利益がごく僅かである点は、あまり強調されていないように思います。
スキャルピング1回の利益は、数pipsから良くて10〜20pips程度と、非常に薄利なトレードです。そのため、たくさん稼ぐためには、「取引ロットを大きくする」「取引回数を増やす」必要があります。
毎回の手数料が重くのしかかる
スキャルピングが薄利である点は、もう一つの問題点につながります。それは取引手数料の相対的大きさです。FX会社のスプレッドは、長期トレードでも短期トレードでも同じですから、獲得値幅が狭いほど、それに占めるスプレッドの割合が大きくなります。1000pipsを狙うトレードならスプレッドの影響はほとんどゼロですが、5pipsを狙うならスプレッドの比率は非常に大きいです。つまり、短いトレードになるほど、プラス収支にするのが単純に難しいと解釈できます。
もちろん、資金効率の良さや、トレード回数の多さによる検証のしやすさという魅力も、スキャルピングにはあります。
反射神経や動体視力が求められる点も含め、スキャルピング特有の難しさを考慮しながら、トレードスタイルを選択してください。スキャルピングが万人向けでないことだけは確かです。
今回のまとめ 特有の難しさを理解した上でスキャルピングを
スキャルピングの問題点① チャートへの拘束時間が長い
チャートへの拘束時間は、トレードの時間軸に反比例しやすいです。スキャルピングの場合、チャートを気にしなければいけない時間はデイトレやスイングよりずっと長くなります。これには、短時間過ぎて注文の指値や逆指値を入れにくい影響も大きいです。
スキャルピングの問題点② 取引ごとに得られる利益が少ない
スキャルピングが、すぐに決着がつくスタイルであることは誰もが知っていますが、1回のトレードで得られる利益がほんの僅かである点は、あまり意識されていないようです。超薄利であるからこそ、多くのロット、たくさんのトレード回数が必須となります。
スキャルピングの問題点③ トレード自体の難易度が高い
1回のトレードで獲得できる値幅が狭いため、相対的にスプレッド(手数料)の影響が大きくなります。これは、安く買い高く売る、あるいは高く売り安く買い戻すトレード自体の難易度が純粋に高いことを表しています。
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