“需給の鬼”こと井上哲男の相場の潮流〜プロの市場分析ノウハウと注目銘柄が分かる!|第8回
井上哲男さんプロフィール
いのうえ・てつお。スプリングキャピタル社代表、日本証券アナリスト協会検定会員。上智大学卒業後、国内保険会社の運用部門長を経て、(現オールド・ミューチュアルグループ)UAMジャパン・インクのチーフ・ストラテジスト兼日本株式運用部長に転身。その後、プラウド投資顧問、アジア最大級のファンド・オブ・ファンズの運用会社であるMCPグループなどで同職を務めた後、独立。“需給の鬼”と呼ばれ、日経CNBCテレビ「夜エクスプレス」「〜攻めのIR〜MarketBreakthrough」、ラジオNIKKEI「アサザイ」などのパーソナリティも務めている。
オリジナルのテクニカル分析や需給動向により、独自の視点から株式相場(株式指数)の方向性を分析する井上氏のメルマガ「相場の潮流」、井上氏とBコミさんこと坂本慎太郎氏が相場解説、ピックアップ銘柄の紹介を行う動画スクール「勝者のスクリーニング-株ハイブリッドバトル-」がGogoJungle(ゴゴジャン)から好評発売中。
メルマガ:相場の潮流
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※この記事は、FX攻略.com2020年11月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
4ー6月期GDP精査
8月17日に日本の2020年4-6月期の国内総生産(GDP)の速報値が発表され、実質GDPは前期比で7.8%の減少、年率換算で27.8%の減少と、戦後最悪の数字となったが、7-9月期はそこから立ち直りを示す数値となることは確定的であり、大切なことは前年同期よりどの程度実額ベースで落ち込んだのかだと考えている。
そのため、昨年4-6月期を100として前期比の増減率を掛けると、その値は89.9となり、日本の実質GDPは1年間で10%程度減少したことが分かる。この減少率は、米国の実額比較の9.5%とほぼ同じ水準であり、ドイツの11.7%、フランスの19.0%、スペインの22.1%などに比べればまだ小さい方といえる。他国は2期連続のマイナス成長であったのに対して、日本は消費税率再引き上げの影響から3四半期連続でマイナス成長となったが、前年同期比の比較では決して相対的に劣るものではない。
内容を見ると、前期比減少率7.8%のうち、「内需」が△4.8%、「外需」が△3.0%、外需の構成項目である輸出は前期比△18.5%となっている。需要項目である個人消費、設備投資、そしてこの輸出についても同様に計算すると、個人消費は88.9、設備投資は95.6、そして輸出は76.9と、輸出の落ち込みが鮮明となる。
よろしいですか?