金融リテラシーが身につく YEN蔵の投資大学(アカデミア)|第10回[YEN蔵]
YEN蔵さんプロフィール
えんぞう。米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。現在はトッププロトレーダーとして為替、日経平均、日経オプション、個別株の取引を行う。投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨を始めとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。
メルマガ:YEN蔵 リアル・トップ・トレーディング
ブログ:YEN蔵のFX投資術-ドル、円、ユーロ、ポンド、オーストラリアドルで世界に投資
Twitter:https://twitter.com/YENZOU
※この記事は、FX攻略.com2020年11月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
ドルの強さが試されるマーケット
日本人投資家の中では、ドル円やクロス円といった円絡みの通貨ペアの取引が人気を集めています。しかし、為替取引の中の王様はやはりドルです。ドルの動きが為替全体に大きな影響を与えますから、普段は円絡みの通貨ペアの取引しか行わない投資家の皆さんも、ドルの動きにはぜひとも注目しておいてください。今回からしばらくは、ドルについていろいろなことを書いてみたいと思います。
最近はドル安の流れが続いています。ドルの強さを示す指標にドルインデックス(DXY)という指数があります(チャート①)。先進国の主要通貨バスケットに対するドルの強弱を示すもので、特定の通貨に対する強弱を示すものではありません。先進国の通貨に対するドルの価値を算出するため、1973年に米連邦準備制度理事会(FRB)によって開発されました。
DXYを構成する各通貨のウェイトは、ユーロ57.6%、円13.6%、ポンド11.9%、カナダドル9.1%、スウェーデンクローナ4.2%、スイスフラン3.6%となっています。ユーロのウェイトが大きいため、ユーロドルの動きがDXYに大きな影響を与えます。
DXYを見ると、ドルの強さが分かります。1980年代のレーガン政権では、発足当初から強い米国を旗印にしており、ドル高政策をとっていました。米国はドル高、高金利、あるいは高金利だからこそドル高になっているという状況でした。
金利が高かった理由として、インフレ率(消費者物価指数)が高かったことが挙げられます。1980年ごろのインフレ率は年率で約15%になっていました。1970年代前半は5%ぐらいでしたが、1974年に12%付近まで上昇。その後1976年には5%割れまで低下しましたが、1970年代後半から1980年にかけてインフレ率が急上昇しました。
もともとインフレ率は世界的に現在よりかなり高い時代が続いていました。1970年代に世界的にインフレ率が上昇した要因はエネルギー価格で、とりわけ原油価格の上昇が影響を与えました。
よろしいですか?