【無料全文公開】マックス岩本の「トレンドライン」を理解する その3
マックス岩本さんに「トレンドライン」の基本から応用までを体系的にまとめてもらう当企画。今回はトレンドライン分析の総集編として、トレンドラインとチャネルラインのより実践的な活用方法を教えていただきましょう。
※この記事は、FX攻略.com2017年4月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
マックス岩本さんプロフィール
いわもと・けいすけ。「中卒認定テクニカルアナリスト」という異名の通り、アナリスト業界ではまれに見るノー学歴。学歴社会が色濃く残る昨今でも、そんなことがいっさい関係しないFX市場を相手に日々奮闘中。「誰もが気軽にFXを始められる今だからこそ、しっかり勝ち続けられる技術を身につけてほしい」という気持ちで、連載やセミナー講師を務めています。
トレンド転換局面とエントリーポイント
前回は、トレンドライン分析を使ったエントリータイミングの見極め方と、トレンドの継続性を図る上で欠かすことのできないチャネルラインの活用方法についてお伝えしました。
トレンドライン分析を取り上げて3回目となる今回は総集編として、具体的なチャート事例を対象に、より実践的な活用方法について解説していきたいと思います。
それでは、はじめにおさらいです。図1(「米ドル/円」15分足)をご覧ください。こちらは価格の下落に伴って下落トレンドラインが引け、後に下落トレンドラインを上方に突破したトレンド転換局面です。
エントリーポイントとなるのは、下落トレンドラインを突破した赤丸のポイントですね。2点の高値を結んで右肩下がりのトレンドラインを突破したということは、トレンドライン分析の観点から、下落トレンドの終焉と上昇トレンドへの転換を示唆するシグナルとなるからです。
しかし、トレンドライン分析を実践で活用する上で、単に任意で引いたラインの突破を認識するだけでは不十分とされてしまうのは、なぜだと思いますか? トレンドラインを突破したにもかかわらず、それが不十分である理由を考えてみてください。
それは、トレンドラインの突破はトレンド転換を示唆するたった一つの根拠に過ぎないからです。本事例のようにトレンドが順行する局面もある一方で、トレンドラインを突破したにもかかわらず、再び元のトレンドに回帰してしまう、いわばダマシになってしまうことも往々にしてあるということを忘れてはいけません。
では、トレンドラインの突破とは別に、どこに注目すれば良いのでしょうか。それは、それ以前の値動きです。この事例において、下落トレンドラインの突破が確認される前に安値を切り上げているのが確認できますでしょうか。
下落トレンドラインが引ける根拠となった2点目の暫定戻り高値形成後の下値探りは、チャネルラインまで届いていません。つまりこれは、価格の方向性(下落)にこそ明確な変化は見られていないものの、決して売り勢いは強くないということを示唆していると受け止めて良いでしょう。
下落トレンドラインは通常、レジスタンスラインとして意識されやすいところがありますが、一旦突破されるとサポートラインとして意識されます。そのことをふまえると、次のエントリーポイントとなるのが赤矢印のポイントです。トレンドが強いときには価格がどんどん順行しますが、そうでないときにはもう一度その価格を試すことがあります。
それでも下げ止まったとなればエントリーのチャンスに値するといえるでしょう。突破時にエントリーできなかったという場合にも、こういったチャンスを生かすことができれば、機会損失にならずに済みます。
トレンドの勢いが増した局面では…
続いて図2(「豪ドル/米ドル」15分足)です。前出の事例はトレンドの転換によるエントリーでしたが、今回はトレンドの勢いが増した場面です。
これは、下落のトレンドラインとそのチャネルラインが引かれた中で、本来は下支えとして意識されるチャネルラインを割り込んでいます。エントリーポイントとなるのは、チャネルラインをしっかり下抜いたことが確認できる青丸のタイミングです。
先の事例と同様に、高値を切り下げていることが見て取れていたため、売りが強まることが想定されていた中での価格の下降です。もともと下落トレンドの最中だったこともあり、チャネルラインを割り込んだ後そのまま値を下げているというのは、トレンドの強さを示す一つの大きな特徴といえます。
最後にもう一つ、図3(「ポンド/円」15分足)はトレンドが強まった際の事例です。こちらは、上昇チャネルラインの突破を根拠に赤丸のポイントでエントリーとなります。もともと上昇トレンドだった中で、さらに買いの勢いが強まったことが分かるポイントですね。
こちらも、突破以前は上値を抑える存在であるチャネルラインを突破できたことで、今度はサポートラインとなった場面です。ここでは、突破後に何度も下値を探る場面がありますが、大きく割り込むことなく戻りが確認できているため、3点の赤矢印のタイミングで押し目買いにも成功できる動きとなりました。
いかがでしたでしょうか。本号までの3回で、トレンドラインとチャネルラインを理解して実際に活用するところまでに至ったのではないでしょうか。次回からは、このトレンドラインをさらに応用した、フォーメーション分析について解説して参りたいと思います。
よろしいですか?