【無料全文公開】ロット数を同じにする〜単純で簡単なことを身に付けよう!〜[田向宏行]
取引数量(ロット)の調整は、初心者が苦手とするところで、これにより致命的な失敗を犯してしまう人さえいます。そうならないためには、ロット数を同じにし、ポジションは一つだけと決め、1回のトレードに集中することがお勧めです。この単純な約束事を守りながら、上達の道を歩んでみてはいかがでしょうか。
※この記事は、FX攻略.com2017年4月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
田向宏行さんプロフィール
たむかい・ひろゆき。大学卒業後、資格試験に挑戦するが挫折。就職できず仕方なく起業。事業経営の間に投資を開始。事業譲渡後の現在は個人投資家。FX会社のセミナー企画・構成も手がけている。著書に『臆病な人でも勝てるFX入門』(池田書店)。
あなたのスキルはどの段階にあるか?
FXの都市伝説的なものが「勝ったときはロットが小さく、あまり儲からない」「負けるときはロットが大きく、多額の損をする」というものではないでしょうか。私も初心者のころにそう思いましたし、本誌の読者にもそう感じる方はいらっしゃるでしょう。
取引数量(ロット)をうまく調節できると、収益を効率的に増やすことができます。著名トレーダーは誰もがやっていそうですが、実はこれが簡単ではありません。
取引ロットの調節は、自分の取引スタイルが確立している上で、さらに資金管理や相場情報など、相場のさまざまな要因を知ることで可能となる技術です。テニスでもゴルフでも、プロの技を見ていると誰でもすぐにできそうに思いますが、現実はそう簡単ではないのと同じです。
ロット数の調節は「諸刃の剣」です。下手な人は資金を急速に失う危険性があります。つまり都市伝説を感じている方は、このまま放置すると資金が枯渇してマーケットから強制退場することになりかねません。
私が著書でご提案しているのが、「ロット数を変えない」「いつも同じ取引サイズにする」ということです。FXの上達は、まず単純で簡単なことをしっかり身に付けることが一番重要です。最初から複雑なことをする必要はありませんし、できません。
特に自分の取引スタイルが確立していない人、自分の取引の勝率や負け率をすぐにいえない人は、ロット数を調節する段階にはないでしょう。このような方は、資金が10万円なら1000通貨、100万円なら1万通貨で取引して、資金を大きく失わないようにしながら、自分のスタイルを確立するのが最優先です。
買い増しや売り増しのロット数調節はしません。もちろん「含み損になったからナンピン」なんてことをしてはいけません。また同時に二つ以上のポジションも持ちません。1回1回の取引に集中して、エントリーとイグジットのタイミングやルールを探す、これに尽きます。
自分の取引データを集めることが重要
こうした方法をお伝えすると、必ず「それじゃあ、収益が減ってしまう」とか、「ドキドキしなくてつまらない」という方がいらっしゃいます。読者の方でもそう感じた方は、要注意です。こうした考え方の人は「欲」が先行してリスクを取りすぎる傾向があるからです。
FX取引はギャンブルとは違います。相場で安定的に利益を積み上げていくためには、自分に合った適切なリスクで取引し、過大なリスクは避けなければなりません。しかし、リスクを取りすぎる方はこれができずに資金を失ってしまいがちです。
時には運良く過大なリスクで大きな収益を得ることもあるかもしれません。でもそれは実力ではなく「運」なので、いずれ破綻するときがきます。相場では派手に稼いでいた人が、消えてしまうことが起こるのです。
私は著書のタイトルにあるように、相場に対して臆病で小心なので、確率を重視して適切なリスクを取るようにしています。また「もっと稼ぎたい」と考える欲の強い方は、レバレッジの意味を理解していないのかもしれません。
FXだけでなく一般社会を含めて考えても、私たちが収入を増やす方法は2通りです。一つは労働時間を増やすこと、そしてもう一つは時間単価を上げること(レバレッジ)です。
FXで自分の取引スタイルが定まらない状態は、自分の専門性がないのと同じで、あらゆる相場に手を出して利益を得ようと考えます。つまり労働時間を増やして収益を得ようという考え方です。しかし、FXは誰でもレバレッジが使えます。確率の高いトレードができれば、そこで取引数量を増やし、単価を上げるだけで手元に残る収益を増やすことができます。
私はこうした考え方なので、取引の確率を重視した自分のスタイルの確立をお勧めしています。一定の確率で儲かることが分かっていれば、後は資金量に応じて徐々に取引数量を増やすだけです。収益が増え、FXの資金が増えれば、さらに取引数量を増やすことができ、加速度的に収益を拡大することができます。
ただ、そのためには、自分の取引の確率を把握しなければなりません。相場状況は社会状況や時間と共に大きく変化するので、短期間のデータでは意味がありません。だから小さなロットサイズに固定して1年ぐらいかけてデータを集める必要があるのです。
2016年の「米ドル/円」相場は前半が下落、後半が上昇でした。こうした大きな変動の中でも通用する自分のスタイルが見つかれば、後は資金管理だけです。まずは我慢してロット調節をせずに自分の取引データを集めることが重要なのです。
よろしいですか?