【無料全文公開】FX初心者が陥りがちな失敗パターンとそれを予防する方法[香澄ケイト]
世界の経済に大きな影響を及ぼす出来事が次々と起こった2016年を受け、今年新たにFXを始めてみようという人もいるのではないでしょうか。しかしFXには思いもしない、痛い目を見る可能性もたくさん転がっています。初心者が自分で気を付けることができるのはどのような点なのでしょうか。香澄ケイトさんに教えていただきます。
※この記事は、FX攻略.com2017年4月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
香澄ケイトさんプロフィール
為替ジャーナリスト。米国カリフォルニア州の大学に留学後、バヌアツ、バーレーン、ロンドンでの仕事を経て、帰国。外資系証券会社で日本株/アジア株の金融法人向け営業、英国系投資顧問会社でオルタナティブ投資の金融法人向けマーケティングに従事する。退職後、株の世界から一転してFXに関する活動を開始し、為替情報サイト、マネー雑誌などの執筆、ラジオ番組への出演およびセミナー等の講師を務める。著書に『あなたのお金を10倍にする外貨投資術』(フォレスト出版)、『今すぐ始めるFX5人の投資家が明かす勝利のルール』(すばる舎)がある。
相場に“まさか(魔坂)”はつきものだけど、まさか…
2016年という年は、本当に“まさか”の年でした。ブレグジットに、トランプ大統領誕生。世の中が疲弊しきっているときには、人はブレイクスルー(現状打破)を求めるからなのでしょうか…。
だから、やはり気になるのは、トランプ大統領。彼の言動が2017年のマーケットを揺り動かすであろうことに疑いの余地はないでしょう。
トランプ大統領は大きな未知数ネタ
年が明けてからのマーケットは、昨年11月の米大統領選以降、続いていた株高・米ドル高のトランプラリーの熱気が冷めつつあり、これからはトランプ大統領の具体的な政策を見極めながらトレードする段階に移ってきていると思います。
トランプ大統領という大きなネタに乗っかって儲けようと、FXを始める方もいらっしゃるでしょうが、トランプ大統領の政治手腕は極めて未知数ですから、2017年の相場予想はなかなか難解なものになると思います。
大体、トランプうんぬんではなくて、相場は不透明・不確実なのが常ですから、バイアスを掛け過ぎずに見ないようにしなくてはなりません。もし、マーケットが自分の思惑と違う方向に行ったら、いったんポジションを閉じ、トレンドが形成されたのを確認してから新たなポジションを取っていけば良いのです。敗者にもチャンスを与えてくれるのがマーケットなのです。
損するという発想こそ大事
FXを始めるきっかけがどうであれ、誰でもFXを行う目的は、お金を儲けたいからですよね。私も、FXを始めようと思ったときは、儲けのことばかり夢見ていました。しかも大きな利益を。大抵の人は、投資をする際、儲けることを真っ先に念頭に描き、「儲ける」という発想はあっても「損する」という発想はあまりしません。
そこであえて、「自分は損するかもしれない」と考えて、FXを始めてみてください。そう考えると、慎重になります。最初はと・て・も慎重なくらいがちょうど良いと思うのです。最初から、一発大きな利益を上げようなんて考えないでください。
仮に大きな利益が出たとしても、次かその次くらいで最初の利益を吹っ飛ばすような大きな損失が出たりしますからね。
具体策はリスク管理
トランプ政権に具体策やその実行性がなくとも、FXでは自分で具体的に実行できることがあります。それは、以下のようなリスク管理です。
① 取引金額は小さめから!
自分サイズの取引金額を把握できれば、むやみに大きな損失は発生しません。レバレッジをかけた取引金額(円換算して、100万円なのか1000万円なのか1億円なのか)を、実際のお金として違和感なく使えるか、を参考にしてみてください。最初は小さい取引でやれば良いんです。自信が付いたら大きくすれば良いのですから。
② 値ごろ感ではトレードしない!
FXでは、「下げ過ぎたから買い」や「上げ過ぎたから売り」ではなく、今後為替相場がどちらの方向に向かうか(=トレンド)を狙うのがトレードの基本。トレンドはチャートを眺めているだけでも、ある程度把握できます。また、口座を開設したら、すぐにトレードはしないこと。トレードしたいと、はやる気持ちは抑えて、マーケットの状況を分析してタイミングを待ちましょう。
③ 損切りをする!
損切りをしないでいると、損は膨らみます。本当にどうしようもないところに来て損切ったときには、損失は大きなものになっています。その一回が致命傷となりFXから退場という憂き目に遭わないとも限りません。
損切りは、損失を最小限に食い止めるためのものであり、次のトレードへの(資金的&精神的な)余力を残してくれるものです。損切りは、自分が耐えられる損失を考慮して、前もってストップロスを機械的に置いておくのも方法です。冒頭で申し上げた“まさか”のときに備えるには、ストップロスが最も有効な手段です。
④ ナンピンはしない!
負け始めると、損切りをせずにナンピンしてしまい、ナンピンしたコストよりも一段と相場が下落したりすると、リスクも相応に膨らんで、より資金を圧迫することになり、精神的な負担も非常に大きくなります。基本的にナンピンはその場しのぎ的な方法なので、ナンピンをするなら損切りをして、新たに出直した方が得策です。
相場が大きく変動したときに、その流れに乗り遅れると儲けるチャンスを逸してしまうと考えがちですが、焦ることはありません。そういうときこそ、慌てないで、まずは相場を観察してみましょう。
よろしいですか?