これからの外国為替場の行方 第130回[田嶋智太郎]
田嶋智太郎(たじま・ともたろう)さんプロフィール
経済アナリスト。アルフィナンツ代表取締役。1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、ひいては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」、ダイワ・証券情報TV「エコノミ☆マルシェ」などのレギュラーコメンテータを務める。主なDVDは「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX入門」「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX実践テクニカル分析編」。主な著書は『財産見直しマニュアル』(ぱる出版)、『FXチャート「儲け」の方程式』(アルケミックス)、『なぜFXで資産リッチになれるのか?』(テクスト)など多数。最新刊は『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)。
※この記事は、FX攻略.com2021年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
強気の“役者”が出揃って市場はリスク選好へ傾く
既知のとおり、今回の米大統領選においては民主党のバイデン前副大統領が当選を確実なものとした。ただ、トランプ米大統領は政権移行の初期段階の手続きを進めることに関してはようやく容認したものの、執筆時においてはなおも「大統領選での敗北」を認めていない。
むろん、11月23日に米連邦政府一般調達局(GSA)のエミリー・マーフィー局長が政権移行手続きの開始を容認したことで、ひとまず無用な危機が生じる可能性は低下し、その点は市場でも大いに好感されている。
手続きが速やかに行われなければ、米国の政治空白が続く間に中国や北朝鮮、ロシアなどが挑発行動を仕掛けてくる可能性もあった。また、政権の引き継ぎが遅れれば、バイデン氏が重要視している新型コロナウイルス向けワクチンの供給に支障を来す可能性もあった。よって、当然のことながら市場は米政権移行手続きの開始を大いに歓迎し、米・日の株価は大幅に上昇した。
また、時を同じくして、世界の複数の製薬メーカーからワクチンの実用化に向けた前向きなニュースも伝わり、そのことも株高に拍車をかけることとなった。
さらに、バイデン次期米政権の財務長官にジャネット・イエレン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長を充てる人事が有力とされたことも、市場の期待感と安心感を一段と強める大きな要因となった。イエレン氏が財務長官に就任すれば、金融政策と財政政策の連携がグンと強まり、米国経済のコロナ禍からの回復がより確実なものになるだろうというのが市場の読みである。
「バイデン氏の勝利、ワクチン開発の進展&イエレン財務長官誕生の可能性」と、これだけ複数の“役者”が出揃えば、ついにNYダウ平均が3万ドルの大台乗せとなるのも道理である。
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