人工知能と相場とコンピューターと|第11回 90年代のキセキ[奥村尚]
奥村尚さんプロフィール
おくむら・ひさし。1987年工学部修士課程修了。テーマはAI(人工知能)。日興証券で数々の数理モデルを開発。スタンフォード大学教授ウィリアム・シャープ博士(1990年ノーベル経済学賞受賞)と投資モデル共同開発、東証株価のネット配信(世界初)。さらにイスラエルのモサド科学顧問とベンチャー企業を設立、AI技術を商用化し大手空港に導入するなど、金融とITの交点で実績多数。現在はアナリストレーティングをAI評価するモデル「MRA」、近将来のFXレートをAI推計する「FXeye」、リスクとリターンを表示するチャート分析「トワイライトゾーン」を提供。日本の金融リテラシーを高めるため、金融リテラシー塾を主催している。
趣味はオーディオと運動。エアロビック競技を15年前から始め、NACマスター部門シングル9連覇、2016年シニア2位、2014~2016年日本選手権千葉県代表、2017~2018年日本選手権 マスター3準優勝。スポーツ万能と発言するも実は「かなずち」であり、球技も苦手である。座右の銘は「どんな意思決定でも遅すぎることはない」。
ブログ:https://okumura-toushi.com/
※この記事は、FX攻略.com2021年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
BISが発表する為替取引量に注目
国際決済銀行(BIS)は世界の中央銀行をメンバーとする国際金融の協力促進組織で、3年ごとに世界の為替取引量を調査しています。最新のレポートは2019年のものです。
それによると、1日の取引量は6.6兆ドル(2019年4月)、当時のドル円レートで換算すると約740兆円です。東京証券取引所の1日の取引量は、2019年は4兆円以下でしたから、その180倍以上の取引があったことになります。世界最大の証券市場であるNY証券取引所は、東証の3倍の取引がありますが、それと比べても60倍以上の取引があります。
株式と債券はほぼ同等の金額で取引がありますが、為替は、それらを超える圧倒的な規模で取引が日々行われていることになります。ちなみに、貿易のための実需取引は1割であり、9割は金融取引です。
2019年は、通貨ペアの中でドルが占める割合は88.3%、次いでユーロ32.3%、日本円16.8%、ポンド12.8%でした。この十数年の取引量比率推移をグラフで見てみましょう(図①)。
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