欧州ファンダメンタルズ入門|第18回 平均インフレ率目標(AIT)[松崎美子]
松崎美子さんプロフィール
まつざき・よしこ。スイス銀行東京支店でトレーダー人生をスタート。1988年渡英、1989年よりバークレイズ銀行ロンドン本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年に同じくロンドン・シティにある米メリルリンチ投資銀行に転職。その後2000年に退職。現在はFX取引に加え、日本の個人投資家向けにブログやセミナー、YouTubeを通じて欧州直送の情報を発信。著書に『松崎美子のロンドンFX』『ずっと稼げるロンドンFX』(共に自由国民社)。2018年より「ファンダメンタルズ・カレッジ」を運営。DMMで「FXの流儀」のオンラインサロンも始めた。
ブログ:http://londonfx.blog102.fc2.com/
ファンダメンタルズ・カレッジ:https://fundamentals-college.com/
オンラインサロン:https://lounge.dmm.com/detail/1215/
https://fundamentals-college.com/
※この記事は、FX攻略.com2021年4月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
金融政策の枠組み変更に動いた米国
今回は米国の金融政策枠組みの変更について書いてみたいと思います。2008年の世界規模の金融危機以来、いくら中央銀行が金融緩和をしてもインフレになりにくい状況が続いています。このような新しい経済モデルへの移行に際し、中央銀行だけが従来の金融政策を継続することに疑問の声が挙がり、最初に金融政策の枠組み変更に動き出したのが米国でした。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、2020年8月のジャクソンホール経済シンポジウムを発表の場と選び、そこで「平均インフレ率目標(Average Inflation Targeting、以下AIT)導入」を発表したのです。
チャート①が発表直後からのドル円の動きですが、AITにより政策金利の引き上げが大幅に遅れる可能性を先取りし、ドルが急落しました。
よろしいですか?