外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|2021年一番の注目ポイントは米長期金利!ドル高トレンドへの転換は起こるのか? 】
米国ではバイデン新政権が誕生し、為替市場はようやく「ポストトランプ」時代に入りました。年初、最も気になる動きは米国の長期金利が1%の大台を回復したこと。金利差拡大でドル高トレンドが復活する可能性があります。従来のドル安トレンドの継続とドル高の萌芽という二兎を追う戦略が必要な今、主要通貨の春相場における売買戦略を考えました。
※この記事は、FX攻略.com2021年4月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
佐藤正和さんプロフィール
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演する他、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
米長期金利上昇でドル高トレンドの芽も。ドル円は今春100円を割り込むか?
新型コロナ感染症は一向に収まる気配がありませんが、2021年の為替相場が始動しました。2月末は通常、3~4月の春相場に向け、年末年始に発生した為替のトレンドがもう一段加速することの多い時期です。2021年でいえば「これまでのドル安トレンドが続く」というのが普通の流れです。
トランプ前大統領の「選挙を盗まれた」キャンペーンの末、ようやく米国大統領に就任したバイデン氏は2兆ドルの大規模な財政出動政策を打ち出しています。巨額の財政出動を行うには、米国債を大量発行して借金する必要があります。米国政府の借金=米国債が大量発行されれば、供給過剰になって価格は下落し、逆に米国債の金利が上昇します。そうした思惑から1月には米国10年債の金利が1%の大台を突破しました。
そのため、従来のトレンドだったドル安から一転、長期金利の高さに注目したドル高トレンドへ反転が起こりそうな気配も出てきました。実際、1月のドル円は米国債の金利高に反応し、一時104円40銭まで買い戻しが進み、2020年12月のレベルまでドル高が進行しました。
2021年の大きな特徴といえそうなのは、ドル円など為替市場が、史上最高値を更新し続ける株価よりも、金利動向により反応する、本来の動きに戻っていく点です。米10年債利回りが1%の大台を突破して大幅上昇したことで、金利高に引っ張られてドルが買い戻される動きが顕著になっています。
その傾向が続くかどうかはまだ判然としません。次なる米長期金利の節目は1.2%台になりますが、その水準は2020年2~3月のコロナショック以前の金利水準になります。
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